なぜ非IT部門が主導できた? AI活用へと着手するまでに躍進
Dr.Sumに蓄積されたデータをWebやExcel上でレポートできる「Dr.Sum Datalizer」を利用することで、各ユーザーが自身でデータ分析を進められるようになった点も特長的だという。画面レイアウトのカスタマイズ、抽出条件の追加作成などをユーザーが設定でき、分析したい形で“お気に入り”に保存、いつでも最新情報のデータを呼び出せるようにしている。
会計システムや経費精算システム、回収した予算データなどをDr.Sum Connectで変換、ノーコードでの処理が可能であり、必要な処理をアイコンからアイコンへとドラック&ドロップするだけで処理プログラムを開発可能だ。複雑な処理をしたいという場合であっても、SQLによるコマンドも叩ける。「IT知識ゼロでもここまでできるのが、Dr.Sum Connectの凄いところです」と強調。最近ではChatGPTなども利用し、SQL文を生成していると山本氏は話す。
同社では2023年8月時点、会計データや予算データなど、各システムから寄せられるデータを連結することでMotionboardで109コンテンツ、Dr.Sum Datalizerで340テーブルを完成させている。「Dr.Sum Datalizerで形を変えながら動的に分析するユーザー層とMotionBoardでビジュアル的にデータ分析するユーザー層の2パターンで柔軟なデータ分析を実現しています。たとえば、管理可能費がどこまで到達しているのか、黄色や赤色のアラート情報で表示したりメールで通知したりするなど、様々な工夫を凝らしています」と山本氏は話す。
Dr.SumやMotionBoardを使いこなしている同社が今取り組んでいるのがリスク管理であり、2023年からはリスク分析と牽制活動に力を入れているという。リスク管理と言えば、JSOX法への順守にともない内部監査のため「CAAT(Computer Assisted Audit Techniques)」が流行したことを覚えている方も少なくないだろう。とはいえ、ツール利用自体のハードルが高く、担当者も変わっていく中で使われなくなってきているのが現状だ。だからこそ、メイコーでもAIを含めた不正検知に挑んでおり、リスク管理ボードを作成している。これは、母集団から異常値・トレンド・整合性などの視点からデータを抽出し、不正の兆候となるデータの有無を確認、リスクシナリオベースでの分析を行うというものだ。たとえば、23時以降や休日に伝票が入れられていたり、サラミ法(検知できない少量値で不正を繰り返して金銭などを窃取する手法)を行っていたり、時間の経過で損害が大きくなるような不正や誤謬の検知で初期消火に努めているという。
実際に講演では、ChatGPTにて作成したデモ用のデータを使用したMotionBoardを投影し、リスク分析の方法、経費精算システムの不正チェックなどについて説明が行われた。ボードの見せ方・構造には、工夫を凝らし「森=>木=>葉」のように俯瞰的に見るボード・詳細を見るボードというように、発生源へのドリルダウンの遷移を意識しながらボードを作成。さらにデータを「気づかせる仕組み」として、アラート・点滅・メール送信なども活用することで利用者が変化を見逃さない仕組みを構築している。
実際の「Dr.Sum」活用の様子は、アーカイブ配信で配信中!
メイコーにおける会計DXを強力に支えている「Dr.Sum」「Motion Board」の活用の様子について、講演当日に行われた詳細なデモの様子をアーカイブ配信でご覧いただけます。2024年2月末までの限定配信となっておりますので、見逃しのないようお早めにご視聴ください。
また、注目を集めている生成AIについては、海外拠点の仕訳を翻訳する際に利用する他、伝票データをベンフォード分析にかけることで異常値を検出、Dr.Sumで該当伝票を参照するなどの活用もしている。
最後に、「Dr.Sumは価格体系がリーズナブルであり、グループ24社でグループライセンスを利用でき、コスト圧縮効果がありました」と本多氏。
「プログラミングのようなITスキルが必要ないことが最も重要であり、情報システム部門の関与が少なくて済むところもメリット。これまでいろいろなシステムを検討してきましたが、Dr.Sumでなければメイコーの会計DXはここまで進んでいないと思います」と山本氏も強調する。IT知識がなくても、会計DXを進められることは大きな優位性になると強調して講演を締めくくった。