
“エクスペリエンス”という言葉がすっかり定着するなど、「体験」の重要性が言われるようになって久しい。2002年から同領域にフォーカスし、体験管理(XM:eXperience Management)という分野を創出したのがQualtrics(クアルトリクス)だ。そんな同社は、今注目を集める生成AIをXMに組み込もうという動きをみせている。そこで今回は、同社 プロダクトマネジメント担当シニアディレクターのScott Fynn氏に話を伺った。
AI活用のために製品体系を一新、3つの製品スイートに
Qualtricsは、「従業員/顧客/ブランド/デザイン」と4つの分野でエクスペリエンスを管理するためのSaaSを提供している。既にFortune100の約90社、グローバルで2万近くのブランドが同社のXM製品を採用するなど、“体験管理”も少しずつ浸透してきた。
中核となるのは、「XiD(Experience iD)」と言われるプロフィールの仕組みだ。XiDに体験に関するデータが蓄積されていき、これに対して機械学習やAIによる会話の分析、ジャーニーオーケストレーションなどの機能を利用できる。たとえば、ユーザーがSNSに投稿した製品の感想などから感情分析を行い、企業と顧客の間でどのようなギャップが存在するのか理解できるというものだ。
同社は2023年3月、生成AIを利用したフロントライン向けの「XM for Customer Frontline」をローンチすると、同年8月には生成AIを実装した次世代プラットフォーム「XM/os2」を発表している。
そして2024年4月4日、Qualtricsは製品体系を「XM for Customer Experience」「XM for Employee Experience」「XM for Strategy + Research」と、3つの製品スイートに刷新するとも公表した。同社でプロダクトマネジメントを統括するFynn氏は、「かなりの時間を割いて調査し、ユーザーが最大限メリットと柔軟性を得られるようにパッケージと価格を変更した」と説明する。

その目的の1つがAIの本格導入だ。「AIはこれから浸透し、我々の活動の中心になる」とFynn氏。3つの製品スイートはXM/os2および「Qualtrics AI」とするAI基盤を含んでおり、ユーザーが意識せずにAIを利用できることを目指す。
「QualtricsはAIを別のものとして考えていない。店舗や医療などの現場で顧客と直接やりとりするフロントラインであっても、従業員とやりとりするチームであっても、戦略と研究に関わる人でもAIを使い、XMからさらなる結果を引き出せるようにする」(Fynn氏)
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末岡 洋子(スエオカ ヨウコ)
フリーランスライター。二児の母。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている。
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