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アクセンチュア、「テクノロジービジョン2024」発表──生成AIと人間の「共進化」による未来を解説

 アクセンチュアは2024年5月27日、記者会見を開催し、同社が発表した最新レポート「テクノロジービジョン2024」について説明した。今年のビジョンのテーマは「Human by Design ──人間性を組み込む」で、生成AIをはじめとする先端テクノロジーが、いかに人間の可能性を切り開くかというサブタイトルが付けられている。

 登壇したのは、アクセンチュア株式会社 テクノロジー コンサルティング本部マネジング・ディレクターの山根圭輔氏。山根氏は、今回のレポートの主要トレンドとして、AIエージェントによるエコシステムの構築や、新しいヒューマンマシンインターフェースなどを紹介。AIがもたらす知識との関係の再構築や、新たな価値創造についても言及した。

アクセンチュア株式会社 テクノロジー コンサルティング本部<br />
インテリジェント ソフトウェアエンジニアリングサービスグループ 共同日本統括 兼 クラウドインフラストラクチャーエンジニアリング日本統括 マネジング・ディレクター<br />
山根 圭輔氏
アクセンチュア株式会社 テクノロジー コンサルティング本部
インテリジェント ソフトウェアエンジニアリングサービスグループ 共同日本統括 兼 クラウドインフラストラクチャーエンジニアリング日本統括 マネジング・ディレクター
山根 圭輔氏

生成AIとLLMがもたらす、知識の再構築と価値創出

 Technology Vision 2024で示された、最も重要なトレンドの1つが「AIとの絶妙なマッチング」だ。これは、生成型AI(GenAI)や大規模言語モデル(LLM)などのAI技術が、企業における知識との関係を再構築し、新たな価値創出のためのエコシステムを形成するという内容だ。

 「今までは人間は人間で、機械は機械、あるいはシステムで投資をしていて、別々に発展していくという考え方だった。これからは人間と機械が融合していって、"ヒューマン+(プラス)"という考え方で投資が拡大していくだろう」と山根氏は強調する。

出典:アクセンチュア [画像クリックで拡大\]

 具体的な事例として、Bloomberg GPTやCisco Systemsの取り組みが紹介された。Bloomberg GPTでは、金融情報などの膨大な自社データを活用した独自のLLMを構築。一方のCisco Systemsでは、ナレッジデータベースと呼ばれる特殊なデータベースにRAGアーキテクチャを適用し、従業員の業務効率化を実現している。これらの事例から、山根氏は「各企業のナレッジを有効活用し、データとAIを融合させることが重要」と指摘した。

 ただし、独自のAIシステムを構築する際には、ハルシネーション(幻覚)や入力情報の漏洩、倫理違反、著作権侵害などのリスクも考慮しなければならない。「これらの課題に対応するためのガバナンスが必要不可欠」と山根氏は述べた。

AIエージェントとの共生がもたらすユーザー体験の進化

 Technology Vision 2024が示す重要トレンドが以下の4つだ。

  • AIによる出会い(A match made in AI):知識との関係が再構築され、AIが私たちの知識探求を新たなレベルに引き上げる
  • 自分専用エージェントとの出会い(Meet my Agent):個々のニーズに応じたエコシステムが構築され、個人専用のAIエージェントが誕生する
  • 私たちが必要とする空間(The space we need):新たな現実の中で価値を創出し、私たちの生活と仕事の質を向上させる空間が提供される
  • デジタル化された私たちの身体(Our bodies electronic):人間とテクノロジーの融合が進み、新しいヒューマン・インターフェースが登場する

 GitHub Copilot XやAdobe Firefly、Microsoft Copilot for Microsoft 365など、すでに実用段階にあるAIエージェントの事例が紹介された。「今や、人間の行動や物理世界にも影響を及ぼすAIエージェントの時代が到来している」と山根氏。

 さらに、最新のChatGPT-4を題材に、将来のAIエージェントの可能性に言及。「様々な特化型のLLMやアーキテクチャを組み合わせ、それらを統括するオーケストレーション用のAIエージェントを設計することで、より高度なタスクの実行が可能になる」という。

 加えて、将来的には人間がAIから学ぶだけでなく、AIも人間から学習するような「相互学習」の重要性を指摘。Googleの「LearnLM」を事例に、人間とAIが共に成長し合える関係性の構築を提唱した。

人間性を備えたAIエージェントとの「共進化」へ

 記者会見の後半、山根氏はAIエージェントの人間性について言及した。

 「AIが人間性を獲得し、人間の能力が拡張されることで、AIと人間が共に進化する時代が来る。我々はこれを『共進化』と呼んでいる」と山根氏。この共進化を通じて、これまでにない新たな価値創造が可能になるという。

 一方で、AIエージェントの普及に伴う課題も示唆された。「AIのバイアスやハルシネーションをチェックし、是正する役割を担う専門家の必要性が高まるだろう」と山根氏は予測する。

 最後に、人間とAIエージェントとの新しい関わり方として、「ジャズセッション」のアナロジーが示された。「基本的なルールがある中で、AIと人間が新しいアイデアを投げかけ合い、クリエイティブなやり取りを繰り返すことで、これまでにない領域に到達できる。それこそがAIと人間の共進化だ」と、山根氏は力説した。

出典 アクセンチュア [画像クリックで拡大\]

 アクセンチュアの「Technology Vision 2024」は、生成AIをはじめとする先端テクノロジーを活用し、人間の能力を拡張する未来像を提示した。

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この記事の著者

京部康男 (編集部)(キョウベヤスオ)

翔泳社 メディア事業部。同志社大学卒業後、人材採用PR会社に就職後1994年から翔泳社に参加。以後、翔泳社の各種イベントの立ち上げやメディア、書籍、イベントに関わってきた。現在は、嘱託社員の立場でEnterpriseZineをメインに取材・編集・書籍などのコンテンツ制作に携わる。 趣味:アコギ、映画鑑賞。...

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