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週刊DBオンライン 谷川耕一

生成AIは魔法の杖ではない、機械学習やディープラーニングによる「カスタムAI」が課題解決の鍵に

顧客の現場課題と向き合う、Ridge-iに訊く

 生成AIが、社会やビジネス現場に大きな変革をもたらしている。クリエイティブ分野はもちろん、アプリケーションやサービスのインターフェイスなどでも成果が出てきた。一方、ビジネスプロセスの効率化など、企業の根幹となる分野では、生成AIだけが必ずしも正解とは言えないようだ。

「カスタムAI」でインパクトを与える

 生成AIは、あたかも魔法の杖のように捉えられがちだ。しかし、名前の通り何かを生み出すことは得意だが、ディープラーニングが得意な将来予測、プロセスの自動制御などまで得意とは限らない。企業が直面しているビジネス課題に対する最適な解決策は、従来型の機械学習やディープラーニングが有効なケースもあると理解すべきだ。

 AIの活用で重要なことは、技術の特性を正しく理解し、それぞれの課題に対し適切な技術を選択すること。そして、生成AIのブームに踊らされることなく、冷静に現状を分析し自社の課題解決に最適なAI技術を見極めること。それが真の価値創造へとつながるだろう。

 その上で技術を正しく使うためには、ビジネスの知見が必要だ。「顧客はHow(どのように行うか)を訊いてきます。そのHowの背景には、どのような戦略や課題が紐付いているのか。解決策は、顧客のビジネスのためにならなければなりません」と言うのは、Ridge-i 執行役員 コンサルティング部 副部長の横山慶一氏だ。2016年に設立されたRidge-i(リッジアイ)は、AIやディープラーニングなどを活用し、社会や企業の課題解決に取り組むテックイノベーションファーム。2023年度(2022年8月1日~2023年7月31日)の業績は、売上高7億9000万円(前期比91.1%増)、営業利益7000万円(前期比186.8%増)、経常利益6000万円(前期比47.7%増)。AIコンサルティング事業が好調に推移し、売上高が大幅に増加した。同社は、2023年4月26日に東京証券取引所グロース市場に上場している。

 同社が提供するのは汎用的なAIプロダクトではなく、カスタムAIソリューションだという。たとえば、橋梁やトンネルなどのインフラ設備の劣化・損傷をドローンやAIを活用して効率的に点検したり、衛星画像やドローン映像の解析による、災害発生時の状況把握や被災状況の迅速な把握、避難経路の策定などを支援したりする。他にも医療画像の診断支援、創薬支援、ゲノム解析など医療・ヘルスケア分野でのソリューション、さらには都市全体のエネルギー管理、交通流の最適化、防犯対策などのスマートシティソリューションなど、これらAI技術を活用するソリューションを幅広く展開している点が特徴だ。

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 その中でも特に伸長している事業が人工衛星に関する領域だという。「人工衛星の領域は、安全保障のテーマでもハイライトされています」と横山氏。人工衛星のデータとAI技術は相性が良く、人工衛星から得られる多様な大容量データを解析したいとのニーズも高い。現状は官需が中心だが、民需も伸びている。

 こうしたDeep Space領域では、衛星データとAI解析により自然災害、社会活動、環境リスクなどを可視化し、社会生活をより良いものにすることを目指す。土地利用の変化、農作物の生育状況、災害状況、インフラの劣化状況などを分析するだけでなく、衛星データの活用にかかわるコンサルティングサービス、顧客ニーズにあわせた解析モデルの開発などにもニーズがあるという。

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AIの導入には、ROIまで考慮する必要も

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この記事の著者

谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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