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海外売上1000億円へ──アダストリアが事業拡張に向け、アジア各国の基幹システム刷新を断行中

第26回:アダストリア DX本部 グローバル推進チーム マネジャー 李若洵さん

 「GLOBAL WORK」や「LOWRYS FARM」「niko and ...」といった多数のアパレルブランドを展開するアダストリア。その勢いは国内にとどまらない。2022年には海外事業の黒字化を果たし、2024年2月期で海外店舗を122まで拡大。将来的には海外売上1000億円を目指しているという。これを加速させるのが、同社のグローバル標準のDX戦略だ。アジア各国で基幹システムの刷新を断行中の李若洵さんに聞いた。

伸びしろだらけの海外市場 アジアでの展開を強化

酒井真弓(以下、酒井):アダストリアが海外展開に力を入れている背景と、現在地を教えてください。

李若洵(以下、李):日本市場が成熟する中、新たな成長機会を求め、グループ全体で海外展開の強化に取り組んでいます。現在、当社の海外売上高比率は10%に満たない状況ですが、これは逆に言えば成長の余地があるということ。かなりの伸びしろがあると見ています。特に注力しているのが、アジア市場です。アジアは若年層が多く、大きな可能性を秘めています。

 私はグローバル領域のIT、特に台湾エリアを担当しています。台湾は、当社がアジアで最も多く出店している国で、11ブランドを展開しています。親日と言われる地域で、日本のファッションが好きな方が多く、日本で人気のファッション誌が台湾のローカル情報を加えて売られているほどです。実は私自身、台湾出身で、学生時代は日本のファッション誌『mina』をよく読んでいました。

酒井:そうなんですね! 日本のファッション誌がそんなに身近な存在だとは、初めて知りました。アダストリアは、DX戦略に「グローカル」を掲げ、海外の顧客に合わせた新たな体験を提供していくとしています。

李:現在は、日本で企画した商品を海外で販売することが多いのですが、今後は各地域のトレンドに合わせた魅力的な商品展開をしていきたいと考えています。もちろん、これまでも各地域の担当者がトレンドを見極め、商品の目利きをしていましたが、今後はAIやデータも駆使し、お客さまにワクワクしてもらえるような商品やお店づくりを追求していきたいです。海外で企画した商品を日本でも展開する、逆輸入のようなことにも挑戦できるかもしれません。

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アダストリア DX本部 グローバル推進チーム マネジャー 李若洵さん

酒井:海外展開にあたっては、グローバル企業から、その地域で支持を得ている企業まで、様々な競合がいると思います。競合の動きがシステムにも影響を与えることもあるのでしょうか?

李:そうですね。競合企業が新しいIT技術を導入したら、私たちの戦略と照らし合わせて参考にすることもあります。ただ私たちは、自分たちが先陣を切ってDXを牽引していきたいと思っています。「アダストリアのようにDXを実現したい」と思われる存在になりたくて、部門全体で頑張っています(笑)。

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文化やマインドの違いを乗り越えたからこそ、ワンチームに

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この記事の著者

酒井 真弓(サカイ マユミ)

ノンフィクションライター。アイティメディア(株)で情報システム部を経て、エンタープライズIT領域において年間60ほどのイベントを企画。2018年、フリーに転向。現在は記者、広報、イベント企画、マネージャーとして、行政から民間まで幅広く記事執筆、企画運営に奔走している。日本初となるGoogle C...

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