カスペルスキーは、Googleの各種サービスやMicrosoft、New Relicなど利用数が特に多いウェブトラッキングサービスを対象にウェブトラッキングを分析し、結果を発表した。
ウェブトラッキングは、ユーザーのオンライン行動に関するデータを収集して保存し、分析を行うもの。収集されるデータには、デモグラフィックデータ、訪れるウェブサイト、各ページの滞在時間のほか、クリックやスクロール、マウスポインタ―の動きなどのデータも含まれるという。これらのデータは、ヒートマップの作成などに利用可能。企業はこういった情報を活用し、ユーザー体験のパーソナライズ、ユーザーエンゲージメントの向上、より効果的なターゲティング広告の配信、さらにはオンラインサービスの成果の測定を行っているという。
カスペルスキーのコンテンツフィルタリング部門のリサーチャーは、ウェブトラッキングの状況を分析するために25種類のトラッキングサービス、たとえば、Alphabetの4つのサービス(Google Display & Video 360、Google Analytics、Google AdSense、YouTube Analytics)、MicrosoftのBing、New Relicのサービスなどを、DNTによって収集した匿名の統計データで分析した。その結果、2023年7月から2024年6月までの1年間で、DNTは約387億2555万件のデータ収集を検知し、ユーザーが情報を共有した件数は1日当たり平均約1億610万件に上ることがわかったという。
日本
トラッキングサービスを実施しているグローバル企業に加え、日本には国内でのみ人気のあるウェブトラッカーが存在する。Yahoo! Japan ウェブポータルは広く利用されており、そのトラッカーは8位で4.70%を占めているという。また、Yahooのデジタル広告Yahoo Advertising は13位で2.35%。
日本のトップ25には、Geniee(2.77%)、SMNのAdsp (1.35%)、MicroAd(1.18%)、Supership(1.05%)、LINE(1.04%)など、日本独自のトラッキングサービスも含まれているという。なお、トップ25のトラッキングシステムにおける日本企業の合計シェアは12.09%だとしている。
グローバル
- 分析したトップ25のトラッキングサービスのうち、アジアで最大のシェアを占めるのはGoogle Display & Video 360。南アジアではDNT機能が作動したケースの25.47%を、東アジア(日本と韓国を除く)では24.45%を同サービスが占めていた。シェアが一番少なかったのは独立国家共同体(CIS)の8.33%で、これは、現地のトラッキングシステムのほうが普及しているため
- ユーザーの行動やキーワードを追跡してウェブサイトのトラフィックとパフォーマンスを最適化するGoogle Analyticsは、ラテンアメリカが最大のシェアで14.89%、次いで中東が14.12%と続いた
- Google AdSenseトラッカーは、中東(6.91%)と南アジア(6.85%)での使用率が高く、シェアが低いのはオセアニア(3.76%)とCIS(2.29%)
- このようなトラッキングシステムの存在は、ほぼすべての地域で増加。特定の地域で増減したシステムはあるが、いずれもGoogleのサービスであったという。このことから、Googleのユーザートラッキングが、他社製品をしのいで広く普及していることがわかる
- YouTube Analyticsのシェアが特に高いのは南アジア(12.71%)と中東(12.30%)で、シェアが低いのは欧州(5.65%)と北米(4.56%)となった
- Microsoftトラッカーのシェアが1番高かったのは中南米(3.38%)で、1番低かったのはCIS(0.68%)。Bingトラッカーはアフリカ(8.46%)での動きが目立ち、存在感が最も小さかったのはCIS(0.76%)であった
- 日本、韓国、ロシアなど、現地のインターネットサービスが高度に発達している地域では、現地のトラッキングシステムがトップ25位以内にランクインしているだけでなく、グローバルのサービスを上回っているケースもあったという
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