製造業とともに歩み、中堅企業のデジタル化に挑む
──三枝様のご経歴と現在のご担当についてお聞かせください。
1992年の入社以来、私は一貫して製造業に携わってきました。中部地区に配属の時期は、自動車関連の大手製造業のお客様を主に担当し、生産管理などのスクラッチ開発に注力してきました。また、名古屋学院大学大学院の客員教授としても活動しています。2020年に東京に転勤してからは、中堅規模の製造業を担当しており、現在は製造業向け生産管理システム「atWill」とクラウドERP「ProActive」の導入を推進しています。
atWillは10年以上、ProActiveは30年以上、当社の主力製品として実績があります。これらの知財と蓄積してきた業務ノウハウを活用して、経営とITを繋ぐコンサルティングが私の主な役割です。
──ターゲットとする企業の規模について教えてください。
私が担当するのは、売上100億円から3,000億円ほどの中堅規模の製造業です。それ以上のたとえば5,000億を超えるような大企業は、別部署の産業システム部門が担当しています。そこでは大手外資系のERP製品も扱っていますが、われわれの部門での競合は国内のベンダーの製造系ソリューションになります。
大手と中堅では、システム導入のアプローチが異なります。大手企業では部門ごとに導入を進めるため、ERPも部分的に段階を踏んで導入することが多い。それに対し、中堅企業は一度に全体を見据えて一括で導入を進めるケースも多く、経営のスピード感や組織力が求められます。
クラウドとパッケージの普及で変わる製造業のデジタル戦略
──日本の製造業の変化についてはどう見られていますか?
製造業界は、ここ数年で大きな変化が起きていると思います。
まず1つ目は、コロナ禍をきっかけにクラウドへの意識が変わったことです。これまで製造業ではデータ流出やセキュリティの懸念からクラウドを敬遠する傾向がありましたが、Zoomなどリモート会議の普及で、クラウドも安全だと認識されるようになり、今ではクラウドが標準的な選択肢となりつつあります。
もう1つは、パッケージソリューションの利用が進んできたことです。ここには世代交代による価値観の変化が影響しているのではないでしょうか。ベテラン層の方々は帳票など文字や表記へのこだわりが強く、自社独自のシステムに固執することが多かったのですが、若い世代になるとそうしたこだわりはなく、デジタルが当たり前になったことで「パッケージでも問題ない」という考えが広がっているように感じます。