日立製作所(以下、日立)は、セコム損害保険(以下、セコム損保)の基幹システムを、現行のメインフレームからプライベートクラウドに移行し、新環境の構築を完了したと発表した。
セコム損保では、30年以上にわたり、メインフレーム上で保険契約者の契約情報などを管理する基幹システムを稼働。プログラム肥大化によるシステム開発費の高騰、DX推進にあたってのデータ活用の制約、メインフレーム技術者の高齢化といった課題があったという。これにともない、次期システム構想を検討。そのファーストステップとして、2021年10月にプライベートクラウドへの移行プロジェクトに着手したとのことだ。
今回の移行では、日立のマイグレーションサービスにおける2つの主要機能を活用し、移行を実現したという。
1つ目は、解析技術を用いたプログラム仕様可視化サービス。従来、メインフレームにおいてブラックボックス化されていた、プログラム呼び出し/ジョブフロー/画面遷移情報を分析し、既存のメインフレーム上におけるプログラムの棚卸を行ったという。これにより、不稼働プログラムの特定などが可能となり、移行対象プログラムの規模を半分程度にスリム化したとのことだ。
2つ目は、移行性分析。セコム損保の基幹システムにおけるプログラムの特性を考慮し、移行方法やツールの精度向上を図り、最適な移行作業を実施したとしている。
また、移行後も一定期間にわたり、日立が新環境における24時間のシステム稼働監視を実施したり、セコム損保とともに業務影響を見極めながら即時対応したりすることで、業務に影響を与えることなく、約半年間にわたり安定稼働を実現したという。
これによりセコム損保は、メインフレーム技術者の確保に関する課題解決のほか、クラウド環境を前提とした最新の技術活用や、システムの拡張性向上などのメリットを享受できたとしている。また、保険商品開発時の保守性・迅速性やDX化の制約などの課題解決に向け、現在検討を進めている次期システム構想を、次のステップに進められるようになったとのことだ。
今後、日立は、金融機関をはじめとした業界の顧客に対し、サービスを展開していく予定だという。
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