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AI・ML・センサーフュージョンの進展が、ロボットの機能向上を後押し──モレックス調査

 モレックスは、直感的な操作性、知能、人との相互コミュニケーション、そして協働の度合いが飛躍的に高まるとされる未来のロボットの可能性に関する考察をまとめたレポート『The Molex 2024 Robotics Report: How Robotics will Empower Human Potential』を発行した。

 同レポートは、工場生産現場の効率改善から子どもたちの学びの方法、効率的なスマートホーム、質の高い患者ケア、軍事作戦支援まで、先進ロボットシステムや多目的ロボットが将来の私たちの日常生活の様々な場面に与える変化について、詳説しているという。

ロボットの進化を後押しする基盤技術

 ロボットの未来の大部分は、動的環境における自動動作を実現する、コアとなる通信とコンピューティング技術の継続的な進展にかかっているという。通信技術の中で最も重要となるのが高速接続の技術だが、これは、ロボットシステムにおいてはロボットを高速かつ精密に反応させるための低遅延通信と、ほぼ瞬時のデータ伝送技術が要求されるためだとしている。5G/6Gネットワークでは高帯域の低遅延通信が実現されるが、5G、Wi-Fi、衛星通信間の切り替え機能など、マルチチャネルによる冗長性を付与するための複数の接続オプションを搭載したロボットを設計することが重要になるという。

 同様に重要なのが、データを近傍のエッジデバイスで処理することで、ロボットシステムとロボットを中断なく独立して運用できるようにすることだと同社は述べる。たとえばエッジコンピューティングでは、自動化ソリューションはデータを瞬間的に処理することが可能だが、これは1秒以内の判断が求められるアプリケーションには必須の能力。また、大部分の産業用オートメーションや生産環境で利用されるロボットには必ず、通信が遮断あるいは安全性が損なわれたと判断した場合には出力と機能を制限してセーフモードにする、フェイルセーフの考えに基づくプロトコルがプログラムされているという。

AI/MLおよびセンサーフュージョンのイノベーションがもたらすメリット

 ロボットの適応性を強化する最大の原動力である人工知能(AI)と機械学習(ML)の進歩はとても重要であるとのことだ。ロボットはAIアルゴリズムによってリアルタイムデータを基にした決定や新しい状況への迅速適応、加えて過去のインタラクションに基づいた将来の状態予測までを行うという。また、MLのパターン分析により、動作を最適化しながら、学習、適応、性能向上を継続して効率と精度を向上することが可能。センサーフュージョンはLiDAR、カメラ、デプスおよびフォースセンサーなどの異なる複数のデータソースからデータを収集し、異なる環境条件下における多目的ロボットの深度、動作、障害物の認識機能を強化するとしている。

より良いヒューマンロボットインタラクションのために重要な要素

 ロボットに関するモレックスのレポートでは、人間の言葉を理解して返事をすることだけでなく、人の感情や前後の文脈に基づいたニーズ予測までが可能なロボットの実現もすぐそこまできていることが述べられている。たとえば自然言語処理(NLP)を用いれば、ロボットは人間の口頭指示に従い、会話に参加し、文脈を理解して行動を調整することが可能。加えて、感情認識AIを搭載したロボットは、人の声のトーンや表情を介して表出される感情を認識、応答できるという。このように人間中心のインタラクションの領域が進展し、ロボットとの深い関わり合いが醸成されていくことは、将来、複雑な住宅環境内にすぐに適応するロボットシステムや自律型ロボットの実現、また新しく家庭教師のような役割を担うロボットや手術支援ロボット、常時患者監視ロボットの実現につながるものとして期待ができるとしている。

 また、インダストリー4.0の進展により、産業環境において複雑度を増す動作を担う協働ロボット (Cobot) も存在感を増しているという。ロボットシステムと様々なタイプのロボットによって生産ラインのスムーズな稼働が維持できるだけでなく、潜在するボトルネックの予測や修正もロボットに任せることが可能となっており、エンジニアがより良い製品を設計するのに役立っているとのことだ。将来的に、コボットは、精度を別次元のレベルにまで高め、細かなパーソナライゼーションも可能となり、手術室や教室から戦場までのあらゆる環境で使用されるようになるだろうと同社は述べている。

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