エクサウィザーズのグループ会社であるExa Enterprise AIは、2024年11月28日および12月9日に開催した生成AIセミナーにおいて、「生成AIの利用実態調査」を実施した。
同調査は、2023年4月から継続的に実施しているもので、今回で5回目だという。
生成AIの導入部門の推移
生成AI技術を導入している対象部門について質問すると、2024年5月に実施した第4回調査で、「全社的に導入」が急拡大し本格導入期に入った後、引き続き「全社的に導入」の割合が増加し約6割まで拡大している。
また、どの程度の社員が生成AIを活用しているかについて、「8割程度の社員」以上の回答が約2割と、前回調査に比べて大きく上昇し、「ほぼ使われていない」の回答は減少。組織として、生成AIの利用が本格化していることがうかがえる。
個人の業務における生成AI活用レベルの推移
同調査では、2023年4月の調査開始から「ChatGPT」など生成AIの業務での利用状況を、「レベル1(関心なし)」「レベル2(関心はある)」「レベル3(試しに利用)」「レベル4(ときどき使用)」「レベル5(日常的に使用)」の5段階に分類し、調査を実施。2023年4月に実施した第1回調査では、「レベル5(日常的に使用)」の回答が1割弱だったのが、今回の調査では約5割まで増加し最大多数になったとしている。
RAGの取り組み状況
RAG(Retrieval Augmented Generation)とは、顧客独自のデータを生成AIで加工・分析できるようにする機能。生成AIを活用するうえで、より正確な回答が得られるなどの理由から注目が高まっているという。
RAGの活用状況を聞いたところ、「既に業務で活用している」が2割以上と前回調査から大幅に上昇し、「取り組み中」以上が全体の5割以上となっている。生成AIの組織での活用が本格化していること、生成AIの「活用レベル5」の割合が増加したことが、RAGへの取組を加速させているものと考えられるという。
さらに、RAGへの取り組み状況を個人の業務における生成AI活用レベル別に見てみると、「活用レベル5」の層において既に約3割が成果を出し始める一方で、「活用レベル3」の層では「取り組みたいが未着手」が7割以上と、RAGの取り組みに差が出始めていることがわかったとのことだ。
関心のある生成AIの最新トレンドについて
関心のある生成AIの最新トレンドについて見てみると、自社データ連携「RAG」と自律的に稼働する「AIエージェント」について約5割が「関心あり」と回答。AIエージェントは、人が設定した目標に対して自らが考えて自律的に動くAIであり、RAGと同様にAI技術の付加価値を高める進化への期待が高いことがうかがえる。特に、個人の活用レベルが高い層ではAIエージェントの関心が高いことがわかったとしている。
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