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日本企業が抱える“AIの障壁”、今必要な「ARCフレームワーク」の考え方とは

効果的なAIの採用、3つのステップ

 グローバルで20年以上にわたり技術者として活躍、エンタープライズITの世界で腕を磨き、現在はExtreme NetworksのAPAC担当 CTOとして腕を振るうジャスティン・ハースト氏。第一線でネットワーク業界を見続けてきた同氏は、AIがもたらすディスラプションをどのように見ているのか。

AIの導入・活用障壁、打破の鍵になる「ARCフレームワーク」とは

 「AI」はもはやバズワードの枠を超え、さまざまな業界においてイノベーションと効率化をもたらす重要なファクターにまで進化しています。日常業務の自動化から、まったく新しいビジネスモデルの実現まで、まさに企業における“戦略的ツール”の中核を担う存在といっても過言ではないでしょう。その傍ら、AIが変革をもたらす可能性を秘めているにもかかわらず、多くの日本企業は、自社の業務に効果的にAIを組み込めず、苦戦している様子も見てとれます。

 もちろん、その原因は“AI”というテクノロジーにはありません。実用的なユースケースを特定した上で、複雑な規制を克服し、レガシーシステムとAIの溝を埋める……こうしたハードルの高さが要因となってしまい、競争優位性の確立に向けてAIを活用するための機会を逃しているのです。

 特にAIの大規模な採用においては、“日本特有”の障壁に直面しています。たとえば大規模データセットに依存するAIシステムの場合、「個人情報保護法(APPI)」などの規制・各種要件により、慎重なコンプライアンスが要求されます。また、文化的な要因も影響を及ぼしています。緻密な合意に基づく意思決定が重視される日本の企業環境では、いわゆる「ハルシネーション」のような、予測不能あるいは非決定論的と考えられるAIの出力結果を信頼することは難しいでしょう。こうした不確実性を受け入れにくい姿勢は「実用性」や「高品質」といった、こだわりに根ざしたものである一方、イノベーションの妨げとなる可能性も否めません。

 こうした問題をさらに複雑にしているのが、日本全体で見られる「プロフェッショナルIT人材の不足」「ITシステムの老朽化」が蔓延していることです。加えて、経営層の多くがAIへの投資に対する“定量的なリターン”を計れず、AIの全面的な採用に二の足を踏んでいます。

 マッキンゼー・アンド・カンパニー社の調査では、日本企業の40%以上が「AIを活用する計画がない」と回答している一方、グローバル企業の75%以上は「AIが自社のいる業界に多大な影響を及ぼす」と予想していることが示されました。グローバルトレンドと比較すると、日本がAIの採用に慎重であることがわかります。また、とある調査では、AIの採用にともなう障壁として「技術的な専門知識の欠如」「多額の設備投資」「信頼性への懸念」が挙げられていました。こうした課題に対応するためには、より“構造的なアプローチ”が必要でしょう。

 そこで筆者は「ARCフレームワーク」を提案します。これは、AIの採用を「アクセラレーション(Acceleration)」「リプレースメント(Replacement)」「クリエーション(Creation)」という、3つのフェーズに構造化する考え方です。

 ARCフレームワークにおける3つのフェーズを言い換えるならば、「小規模な導入」「信頼の構築」「AIをより活用するための環境構築」となり、これらを順序立てて実現していくことで、AIを自社業務に組み込むという複雑なプロセスを簡素化して捉えることができるのです。加えて、ここに技術的・事業戦略的な観点でのロードマップを組み合わせることで、AIを導入・活用するためのプロセスをより明確にできるでしょう。

次のページ
「ARCフレームワーク」の活用、ポイントを整理

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この記事の著者

Justin Hurst(ジャスティン・ハースト)

Extreme NetworksのAPAC担当CTOとして、APACにおけるExtreme Networksプラットフォームの技術ビジョンをリードしています。デジタルトランスフォーメーションの実現、ITモダナイゼーション、デザインによるイノベーションを重点分野としており、CTO室や製品チームと密接に...

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