SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

最新イベントはこちら!

Security Online Day 2025 春の陣

2025年3月18日(火)オンライン開催

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けの講座「EnterpriseZine Academy」や、すべてのITパーソンに向けた「新エバンジェリスト養成講座」などの講座を企画しています。EnterpriseZine編集部ならではの切り口・企画・講師セレクトで、明日を担うIT人材の育成をミッションに展開しております。

お申し込み受付中!

EnterpriseZine(エンタープライズジン)

EnterpriseZine編集部が最旬ITトピックの深層に迫る。ここでしか読めない、エンタープライズITの最新トピックをお届けします。

『EnterpriseZine Press』

2024年秋号(EnterpriseZine Press 2024 Autumn)特集「生成AI時代に考える“真のDX人材育成”──『スキル策定』『実践』2つの観点で紐解く」

週刊DBオンライン 谷川耕一

なぜ函館高専生は「デザイン思考」を学習?独立系SIのTDCソフトが注力する「UI/UX」人材育成

デザイン思考アプローチでユーザー視点を実装する

北海道で「UI/UXデザイン」人材育成 高専でデザイン思考を学ぶ

 TDCソフトでは、自社エンジニア向けにUI/UXデザインの研修を実施し、人材育成を図っている。その過程で気づいたのは、エンジニアを目指す学生にとってもUI/UXデザインの研修が有効だということ。これをきっかけに開発されたのが「UXデザインスターターキット」だ。これは、小学生から大学生までを対象にした、デザイン思考のワークシート集。テーマや達成したいことにあわせてワークシートを組み合わせることで、デザイン未経験者でもユーザー目線で課題解決に取り組めるよう構成されている。

 そして実際に授業の一環として取り入れているのが、函館工業高等専門学校(以下、函館高専)だ。同校は、北海道函館市に位置する国立の高等専門学校。中学校卒業後の5年間一貫教育により、大学工学部と同程度の専門知識が習得できることを特長としており、本科(5年制・準学士課程)と専攻科(2年制・学士課程)をあわせて1,000人を超える学生が在籍している。

 函館高専には、5年生が履修する「ヒューマンインターフェース」の通年講義があり、講義の前期ではヒューマンインターフェースの概論として人間の認知、記憶の特性を学ぶ。「人間がどのような反応をするかを把握し、その上で使いやすいインターフェース・デザインはどのようなものか、どうするとヒューマンエラーが起き、エラーを起こさないようにするにはどうすれば良いのかを座学で学びます」と説明するのは、同校 生産システム工学科の小山慎哉教授だ。

函館工業高等専門学校 生産システム工学科 小山慎哉 教授
函館工業高等専門学校 生産システム工学科 小山慎哉 教授

 この講義の後期課程ではUI/UXをどのようにデザインし、構築したものをテストし、どのように評価するかなどを実践的に学ぶという。そして小山教授がUI/UXデザインの実践教材を検討していたとき、学生の進路先としても付き合いのあったTDCソフトから、UI/UXデザインの研修・ワークショップの提案を受ける。設計からインタビュー、評価、デザインを行う一連のUI/UXデザインの過程を、実例を交えながら進められるワークショップは、学生にとっても有効だと判断。そこで「UXデザインスターターキット」を用いた、実践的なワークショップ演習を講義に取り入れることを決めたという。

 UXデザインスターターキットを取り入れたワークショップは、2022年度からスタートしており、毎年改善を加えながら2024年度には3度目の講義が実施されている。なお、函館高専ではUXデザインスターターキットのコンテンツを教材として利用するだけではなく、TDCソフトの担当者が講師となり、学生を直接指導することで演習を支援しているという。

 この演習は、40名ほどの学生に行われる。内容は「デザイン思考」の基礎講義から入り、ユーザー視点に立ったモノづくりが重要であること、そのためのデザイン思考のアプローチを教えていく。その上で、学校生活の困りごとを解決することをテーマにワークショップを実施。ユーザーニーズを発掘し、そこから生まれた解決策となる“アイデアの検証過程”を経ることで、「『ユーザーにとって良いものだ』と根拠を得た上でのモノづくりを経験できます。実際にワークショップを受講した学生は、デザイン思考などに基づいて考えられるようになっています」と言うのは、函館高専での講義を担当しているTDCソフトでUXデザイナーを務める桑名のどか氏だ。

TDCソフト株式会社 デジタルテクノロジー本部 デザイン&テクノロジーコンサルティング統括部 CX&UXデザイン推進部 UXデザイナー 桑名のどか氏
TDCソフト株式会社 デジタルテクノロジー本部 デザイン&テクノロジーコンサルティング統括部 CX&UXデザイン推進部 UXデザイナー 桑名のどか氏

 TDCソフトが学生に講義する中では、小山教授とも相談しながら演習内容を適宜更新している。たとえば2022年度までは、ユーザー調査のインタビューを学生たちが実践し、終了後に正しいインタビューのやり方を伝えていた。しかし、インタビュー前にコツをつかんでから実践した方が効果的だと考え、「2023年度は、事前のインタビュー&分析ワークショップに加え、5分間でインタビューして10分間で分析する機会を取り入れました」と桑野氏。こうした取り組みは有効だとして、自分の仮説が正しくなかったと気づく学生が増えたり、普段の生活でも自然と周りを観察し、何か課題がないかを発見する癖がついた学生も出てきたりしているという。「(UI/UXデザインを取り入れた)ワークショップにより、学生に『ユーザー視点で考える』スキルがより身に付いたと感じています」(桑野氏)

次のページ
デザイン思考のアプローチ、なぜエンジニア人材に必要なのか?

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
週刊DBオンライン 谷川耕一連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

EnterpriseZine(エンタープライズジン)
https://enterprisezine.jp/article/detail/21420 2025/02/13 08:00

Job Board

AD

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング