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Security Online Day 2025 春の陣レポート

企業のセキュリティ計画にも影響する?「サイバー」と「安全保障」の専門家が日米サイバー協力の未来を語る

慶應義塾大学 小宮山功一朗氏×ハドソン研究所 村野将氏

 陸・海・空・宇宙に続く「第5の戦場」となったサイバー空間。もはや国家間の対立は、政府機関やインフラだけでなく民間企業にも及ぶ現実に直面している。日米によるサイバー協力の強化、中国との緊張関係、宇宙アセットを狙う新たな脅威……こうした国際情勢の変化は、企業のセキュリティ戦略にも影響を与えるだろう。日々組織を守る者として、セキュリティ担当者が知っておいて損はないサイバー空間の地政学的変化について、2025年3月18日に開催された「Security Online Day 2025 春の陣」にて、慶應義塾大学のSFC研究所で上席所員を務める小宮山功一朗氏と、ハドソン研究所で上席研究員を務める村野将氏による対談が行われた。

第5の戦場となったサイバー空間、日米関係がいずれ企業にも影響する?

※本講演は2025年2月28日に収録されたものであり、対談の内容は収録時点での最新情報に基づいて行われています。

名須川(モデレーター):安全保障をはじめとする国際情勢の変化は、皆さんの日々のセキュリティ業務に直接は関係しないように思われるかもしれません。しかし昨今、サイバー空間は陸、海、空、そして宇宙に次ぐ“第5の戦場”とも言われております。そして境界なきサイバー空間では、政府機関やインフラだけでなく、民間企業も標的になる可能性が大いにあります。

 サイバー空間における国家間での取り決めや、法整備などのルールメイキングが進んでいけば、いずれ皆さんのセキュリティ計画や日々の業務にも影響してくることでしょう。そこで今回、サイバーセキュリティと安全保障の専門家の方々にお越しいただきました。テーマは日米のサイバー空間における協力と、その未来について。日米関係は、日本の安全保障に最も影響を与える要素の一つだからです。

小宮山氏(サイバーの専門家):慶應義塾大学のSFC研究所で上席所員を務める小宮山です。私の研究分野はサイバーセキュリティとグローバルガバナンスで、大きく言えば「世界の公共的な財をどう分かち合うか」を日々研究しています。

 元はシステムエンジニアとしてキャリアをスタートし、データセンターでの勤務やデータベース・アドミニストレーターを経て、現在はJPCERTコーディネーションセンターに所属しています。日本で行われる高度なサイバー攻撃への対応において、私が担当するのは“国際連携”です。

 日本に対するサイバー攻撃の約半分は、日本の外から仕掛けられています。よって、これに対処するためには米国やヨーロッパ、中国、アジア諸国などといったグローバルとの協力が欠かせません。その前提に立ち、本日は研究者としての視点から、日米同盟と、それがサイバー空間に与える影響について考えたいと思います。

慶應義塾大学 SFC研究所 上席所員 小宮山功一朗氏
慶應義塾大学 SFC研究所 上席所員
小宮山功一朗氏

村野氏(日米安全保障の専門家):米国のハドソン研究所で上席研究員をしております、村野です。2019年の春から、ワシントンD.C.をベースに活動しています。元々は核抑止やミサイル防衛が私の担当分野の中心でしたが、現在は日米の防衛協力事業全般を所掌しています。

 そして、今日の私が担当しているのは「伝統的安全保障分野」と呼ばれる分野で、たとえば米軍の戦力構成や自衛隊の防衛力整備に関する政策支援のほか、机上演習の設計、シナリオデザイン、そして中国・北朝鮮の脅威分析などを行っています。本日は小宮山先生とともに、日米のサイバー空間における協力について、ここではあえて「日米『サイバー』同盟の未来」と題して意見を交わせたらと思います。

第2次トランプ政権下で強まる対中政策、弱まる世界へのコミットメント

名須川:本題のサイバー協力に入る前に、まずは現在の日米関係について村野さんの視点から教えていただけますか。特に、第2次トランプ政権発足後の動向が気になります。

村野氏:歴代の米国政権は、選挙公約を国家安全保障戦略や国家防衛戦略といった戦略文書にまとめるまでに通常1〜2年かけていました。しかし振り返ってみると、戦略文書をまとめている最中に突発的な事態や危機が発生し、結果的にそれへの対応が任期中の中心課題となっているケースが多いです。ブッシュ政権では2001年の同時多発テロが、そしてバイデン政権では、2022年のロシアによるウクライナ侵攻がそうでした。

 トランプ政権はまだ発足して2ヵ月ですが(収録時点)、受身ではなくプロアクティブに政策を変えようとスタートダッシュしている点が非常に強烈です。ただし、世界情勢へのコミットメントに関しては従来の米国の方針と異なります。米国がリスクやコストを負うべき国益と手段を再整理し、コストに見合わないところからは手を引くという発想や動きが目立ちますよね。

 ウクライナとロシアの早期停戦を急ごうとするのも、リソースを中国への対応に優先的に振り向けるためだと考えられます。この、欧州やウクライナへのコミットメントを減らそうという動きが、ここ2ヵ月の特徴です。

ハドソン研究所 Japan Chair 上席研究員 村野将氏
ハドソン研究所 Japan Chair 上席研究員
村野将氏

小宮山氏:スタートダッシュが強烈というのは本当にその通りで、米政府の職員として働いている私の知人も、最初は「(トランプ氏は)2期目だし経験もあるから、何とかマネジメントできるはず」と言っていましたが、ここ1ヵ月は予想とは違う毎日のようです。こうした米国の新しい外交戦略が日本にどう影響するのか……特に米中関係や対中政策の変化が気になります。

村野氏:対中政策に関しては、強硬にはなっても融和的になることは考えにくいでしょう。現在のワシントンでは、「中国は米国の安全保障上の最重大脅威である」という超党派の共通認識があります。政策実務家だけでなく議会でも同様で、むしろ議会は対中強硬派に傾いています。ブッシュ政権やオバマ政権の初期と比べて、中国への関与政策のような融和的な政策が支持される余地はほとんどありません。

 かつて、米国のアジア政策は欧州や中東政策の従属変数という位置づけでしたが、今は対中政策やインド太平洋地域が最優先され、その結果、ヨーロッパの優先順位が相対的に下がっています。対中政策に関しては、ウクライナ支援のように「積極的に関与すべき vs 関与しないべき」といった幅はほぼ存在しません。

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石破&トランプ会談ではサイバー協力にも言及、密な連携を築けるか?

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この記事の著者

京部康男 (編集部)(キョウベヤスオ)

ライター兼エディター。翔泳社EnterpriseZineには業務委託として関わる。翔泳社在籍時には各種イベントの立ち上げやメディア、書籍、イベントに関わってきた。現在はフリーランスとして、エンタープライズIT、行政情報IT関連、企業のWeb記事作成、企業出版支援などを行う。Mail : k...

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