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EnterpriseZine Day 2025 Summer

2025年6月20日(金)オンライン開催

EnterpriseZine(エンタープライズジン)

EnterpriseZine編集部が最旬ITトピックの深層に迫る。ここでしか読めない、エンタープライズITの最新トピックをお届けします。

『EnterpriseZine Press』

2025年春号(EnterpriseZine Press 2025 Spring)特集「デジタル変革に待ったなし、地銀の生存競争──2025年の崖を回避するためのトリガーは」

井無田仲と探る「変革のフロントライン」

TOKIUM代表取締役 黒﨑賢一×テックタッチ井無田仲──バックオフィス改革で見えた「成功の法則」

DXは“現場を味方につける”ところから始まる

 経費精算や請求書処理といった“企業の屋台骨”を担うバックオフィス業務。現場起点での業務改善にこだわり2,500社超の変革を支援し、2025年5月には「経理AIエージェント」の提供を発表したTOKIUM。これまで以上に支援の幅を広げようとしている同社は、単なるシステム導入にとどまらず、“現場の実行力”を引き出すことで、全社的な生産性向上につなげてきた──その「成功の法則」を探るべく、テックタッチ代表取締役CEOの井無田仲氏が、TOKIUM 代表取締役の黒﨑賢一氏に話を聞いた。

「業務は変わる、変えられる」──BtoCからBtoBへ、TOKIUMの挑戦

井無田仲氏(以下、井無田):まずは、TOKIUMの事業・サービスについて教えてください。黒﨑さんは学生時代の2012年に起業していますよね。当初は家計簿管理アプリの「Dr.Wallet」[注]というBtoCサービスでした。そこから事業を転換して、紙やExcelに頼った支出管理業務における現場負担を減らし、効率化をサポートするためのプラットフォーム「TOKIUM」を提供されています。法人向けサービスへと事業をピボットしたのはなぜですか。

黒﨑賢一氏(以下、黒﨑):2016年から、法人向けサービスを本格的に手がけはじめました。当時は個人向けにスマートフォンが浸透していた一方、ビジネスの現場ではデジタルやスマホの活用が遅れていたので、「業務自体の前提が変わるタイミングが来ている」と感じました。

株式会社TOKIUM 代表取締役 黒﨑賢一氏1991年生まれ。筑波大学在学中の2012年に株式会社TOKIUMを創業。
株式会社TOKIUM 代表取締役 黒﨑賢一氏
1991年生まれ。筑波大学在学中の2012年に株式会社TOKIUMを創業

 ちょうど電子帳簿保存法の改正などが控えているタイミングでもあり、従来の業務プロセスを見直さざるを得ない状況が生まれつつありました。法制度の変化が定期的に起こる領域は、逆に言えば「まだ最適解が確立されていない」部分でもあります。そうした領域で、現場とともに“新しい解”を作っていけることに、私たちは大きな可能性を感じたのです。

井無田:それ以前に展開していた、家計簿管理アプリのノウハウやアセットを活かせた側面もあるのではないでしょうか。

黒﨑:個人の家計管理と法人の支出管理は似て非なるもので、マーケットもまったく別物なので大部分は新たにイチから構築した、という感覚ですね。とはいえ、家計簿アプリで培った、レシートをスマートフォンで撮影してクラウドにアップロードする仕組みや、入力オペレーターの運用体制などは、法人向けでも十分に活かせました。運用基盤をBtoBに転用できたのは、私たちのアドバンテージだったと思います。

井無田:そうして立ち上げたサービスが、2,500社を超える導入にまで広がっています。ここまで成長できたのは何がポイントなのでしょうか。

黒﨑:法改正などによって変化が激しいマーケットは、言い換えれば「まだ誰もベストプラクティスを知らない状況」が度々起こるということです。その構造を理解した上で、社会の変化にあわせて最速で最適解を導き出してサービスに落とし込み、どこよりも早く提案することにこだわり続けてきました。これが少ないリソースでも、マーケットに受け入れてもらえた理由だと考えています。

[注] 現在は、関連会社の株式会社BearTail Xに運営を移管

DXの鍵は“業務起点” 共感されるプロダクトは、現場から生まれる

井無田:どうすれば他社に先駆けて最適解を見つけ、サービス化できるのでしょうか。現場の動きや意思決定において、どのような工夫をされていますか。

黒﨑:クライアントとの接点を非常に大切にしています。さまざまなお客様の業務を拝見し、サービスのど真ん中からは少し外れた相談ごとでもしっかりとうかがいます。その過程で隠れたニーズにたどり着くこともありますし、業務の進め方がヒントとなって最適なソリューションを見いだせることも多々あります。業種も規模も超えて、さまざまなお客様の知恵やニーズ、課題が当社に集まってくるからこそ、それらを新しいサービスや機能に昇華させ、マーケットに広げていける。これがTOKIUMのスタイルです。

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DXは共感から始まる──泥臭い「説明と関係構築」が変革を導く

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この記事の著者

井無田 仲(イムタ ナカ)

テックタッチ株式会社 代表取締役慶應義塾大学法学部、コロンビア大学MBA卒
2003年から2011年までドイツ証券、新生銀行にて企業の資金調達/M&A助言業務に従事後、ユナイテッド社で事業責任者、米国子会社代表などを歴任し大規模サービスの開発・グロースなどを手がける。「ITリテラシーがいらなくなる...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

中釜 由起子(ナカガマ ユキコ)

テックタッチ株式会社 Head of PR中央大学法学部卒。2005年から2019年まで朝日新聞社で記者・新規事業担当、「telling,」創刊編集長などを務める。株式会社ジーニーで広報・ブランディング・マーケティング等の責任者を経て2023年にテックタッチへ。日本のDX推進をアシストするシステム利...

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