攻めのIT投資ばかりで大丈夫か? DX/AI時代の企業に警鐘、増え続けるアイデンティティに対処せよ
ID管理から「アイデンティティ・セキュリティ」へと進化したSailPoint、時代の変化と課題を語る
経営・事業の成長に向けて「足元を強固にする」のがアイデンティティ・セキュリティ
続いて盛口氏は、企業経営の課題におけるアイデンティティ管理の位置づけについて言及。多くの企業が業績向上を目指して、業務効率化のためのITシステムに積極的な投資を行っているものの、「利益を直接生まない、いわゆる『コストセンター』的なアプリケーションには十分な投資が回っていないケースが見受けられる」と指摘した。アイデンティティ管理のツールやシステムも、そのうちの一つだ。
この投資バランスの偏りが企業に与えるリスクは無視できない。業務効率化のためのアプリケーションが増える一方で、それらを管理するシステムへの投資が不足すれば、セキュリティリスクが拡大することは明白だ。万が一のインシデントが発生した場合、企業の業績向上という本来の目的を達成できなくなる恐れがある。
企業がアイデンティティ・セキュリティに取り組むメリットは、部門によって少しずつ異なる。CISOにとっては、セキュリティリスクの最小化と経営リスクの回避につながる。そしてセキュリティチームや監査・コンプライアンスチームにとっては、それぞれの業務効率化を実現できるメリットがある。それぞれの立場でマシンアイデンティティ管理のメリットを享受できるため、組織全体でのコンセンサス形成が重要だという。

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最後に盛口氏は、SailPointの歩みを振り返った。これまで同社は、従業員や外部委託先などのユーザーに対するID(身元)の作成・管理と、それに紐づくアクセス権限の可視化・制御を行うIGA(Identity Governance and Administration)を提供するプロバイダーとして知られてきた。しかし、今はそこから「アイデンティティ・セキュリティを提供するプロバイダー」へと進化している。
「2005年の創業時は、SailPointはアイデンティティ・ガバナンスのパイオニアとして、“コンプライアンス中心”のアプローチをとっていました。やがて2010年頃になると、コスト削減と自動化を重視した“IGA”に重点を置くようになり、約10年間かけて製品機能を拡張してきました。そして現在は、“セキュリティ主導”のアプローチへと舵を切り、マシンアイデンティティや非正規社員まで対象を拡大しています。加えて、AIテクノロジーを活用したアイデンティティ・セキュリティの領域にも踏み出しました」(盛口氏)
2021年から日本での事業展開を本格化させたSailPointだが、現在も日本市場での体制強化を進めており、顧客への手厚いサポート体制を構築しているとのことだ。講演の締めくくりには、視聴者に対し「『ビジネス拡大を目指すために、足元のセキュリティを強固にする』という考えのもと、ぜひアイデンティティ・セキュリティの導入をご検討いただきたい」とメッセージを贈った。
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EnterpriseZine編集部(エンタープライズジン ヘンシュウブ)
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※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
提供:SailPointテクノロジーズジャパン合同会社
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