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IT Initiative Day BI Specialセッションレポート

『BIと高度情報利用へのアプローチ』

株式会社ジール 代表取締役&CEO 山本秀典 氏

ビジネスインテリジェンスという言葉が一般化して十数年。その間、さまざまなツールやソリューションが登場しているが、多様化・複雑化しており選択基準がわかりにくくなっている。株式会社ジール の山本秀典氏は「BIとBPM、バックオフィスとフロントオフィスといった多方面を見据えた導入アプローチが不可欠」と情報活用のアーキテクチャの重要性について語る。はたして企業の戦略と実際の業績を合わせて管理する方法とは何か、事例を踏まえつつ説明した。

BIから「HPiA(高度情報利用アーキテクチャ)」へ

 BIツールの環境は、BIという概念が持ち込まれてから基本的には大きな変化はない。基幹システムのデータベースから抽出され、データウエアハウスに格納され、レポートやOLAPとして分析される。また、技術側からみたBIロードマップも、日常的に単純に行なわれてきた照会・レポーティングによる「状況確認型」から、OLAP分析やビジネスアナリティクスによる「仮説検証・原因究明型」へとより戦略的かつ複雑化し、それをさらに未来の予見まで含めた「発見型」として成長させたのがデータマイニングだと考えられる。これらは決して時間軸で変化していくものではなく、併行して活用されるべきものだという。

 それぞれに多彩なツールが用意されており、山本氏も「どれが一番いいのかという質問が寄せられて困る。何を入れるかより、どう使うかが問題」と述べる。事実、OLAPツールを入れつつも十分に活用できているとはいえない企業は少なくない。一方で、OLAPツールを使いこなし、成果につなげている企業も増えてきているという。しかし、ことデータマイニングに至っては、必要性を感じつつも運用への不安を抱える企業が多い。山本氏は、データマイニングツールの使いにくさをあげ「OLAP並の使いやすさを追求しなくてはならない」と指摘する。  ビジネス側から見た場合、やはり財務会計系が最もBIツールの活用が進んでおり、生産や調達に関わるインフラ系が遅れているのに対して、セールス・マーケティング系が最もBIツールの活用が進んでおり高度な分析を行いその結果をEMPなどの新たな顧客開発に向けた施策に活かしている。しかし、これらはそれぞれが独立したものではなく、連携してはじめてBIの全社的な意味が高まるものだ。

 またデータから見ると、これまでの実績データ分析で過去の事実認識を行なうところから、短期間の計画を立て、未来を見て今を変え、はては未来の商品や顧客をつくるといった長期的な活用へと関心が移りつつある。つまり、単なる情報がインテリジェンス化しつつあるというわけだ。しかし、BIは存在しているだけではBIになり得ない。情報利用のためのアーキテクチャがあってこそ可能になる。

 しかし、なぜそこまで情報をBIとして活用しようという気運が高まっているのか。米ガートナーがまとめた「2010年におけるビジネス面およびテクノロジー面の優先事項トップ10」によると、IT予算はほぼ横ばいながら、生産性を高める戦略への関心は高い。つまり、ITをサポートではなく、革新と競争優位性を高めるための戦略的ツールとして見なしつつあることがうかがえる。山本氏は「すべての課題にBIが密接に関係している。狭い場所にBIを押し込めるのではなく、広く多くの人に活用してもらえる、そんな『情報活用プラットフォーム』を持つ高度情報利用アーキテクチャこそ、企業活性化のカギになる」と力説する。それでは、そうした環境をどのようにして構築すればいいのか。

株式会社ジール
代表取締役&CEO
山本秀典 氏
株式会社ジール 代表取締役&CEO 山本秀典 氏

高度情報利用を実現するための「BSC +“全体最適”」のあるべき姿

 さまざまなビジネスにおける課題に対して、情報活用が担う役割は大きい。山本氏は「BIの活用においては、外部環境とビジネスシステムに風化しないシステムづくりを考えなくてはならない。基幹系もフロント&バックオフィスとも、BIを共有し活用できる場をつくることが必須である」とその重要性を語り、「BIを真ん中において情報活用のプラットフォームを構築し、その上でシステムを考えるべき」と力説する。

 これまでは例えば、顧客分析を行なうとなると、それぞれから顧客データ、販売データ、製品データなどを持ち寄ってレポートを作成していた。しかし、今後は異なるシステムからデータをスピーディに引き出し、リアルタイムで組み合わせて分析するといったニーズにも対応する必要がある。そこで、あらゆるデータを横串に統合して管理する基盤が不可欠だ。結果、日々の業務(戦闘)から生じるデータを戦略を実行するための支援(戦術)のために活用し、戦略を支えていく、そして再び戦略から戦術が考えられ、戦闘にフィードバックされていく。そんなポジティブループをいかに生成するかが重要なのだという。

 もちろんOLAP分析による結果をもとにビジネスアナリストが判断をしていくこともまだ多いだろう。しかし、データマイニングによって一定の答えが示されることによって現場の判断のスピードがアップする。それは企業の競争力強化において有効と思われる。山本氏は「金融関係などの与信には既に一般的になっており、少しずつ様々な業界業種に広がりつつある。まだ活用している企業は10%にも満たず焦る必要はないが、準備はしておくべきだろう」と近い将来に向けた心構えを訴える。

 そして、実現のための基本フレームワークを導入するにあたり、BSC的な4つの視点を持つことが妥当であるという。つまり、財務(過去)、顧客(外部)、内部業務プロセス(内部)、イノベーションと学習(将来)といった4つの視点からKPIなどの成果を評価し、BIツールにて原因分析や仮説検証を行なう。そしてその結果に基づき、計画や予算の策定やビジネスモデリング、シナリオ分析などを行なっていく。その結果、先述の4つについて実行し、監視を行っていく。このように4つの視点とプランニング(財務的計画)を相互に連携・シミュレーションを行い、トライアル&エラーの仕組みをつくることで、両者に品質の向上が望めるという。

 最後に、山本氏は「戦略とは何かを分析することではなく、本質を洞察し、それを実践することである。そのために認識と実践を組織横断的に結合することが必要」と情報活用の本質について繰り返し、「そのために使えないBIシステムであってはならない。人の支援のために人が使えるツールとすべく努力していきたい」と結んだ。
 

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EnterpriseZine編集部(エンタープライズジン ヘンシュウブ)

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