「ほぼ完璧に動いた」 MySQLとの高い互換性、迅速なサポート
TiDBの本格的な検討に乗り出すと、まずはアプリケーションチームがローカル環境でTiDBを立ち上げ、MySQLとの互換性を検証するところから始めた。
当初、アプリケーションはPostgreSQLを採用し、O/Rマッパーを利用してデータベースにアクセスすることで、PostgreSQL固有の機能には依存しないように構築していたという。そのためPostgreSQLからTiDBに切り替えてみたところ、「MySQL用にドライバを変えた程度でほぼ動いた」と迫田氏は説明する。MySQLとの互換性は高く、アプリケーションにもほとんど手を加えることなく動作したのだ。過去には「互換性のある」他のデータベースで期待通りの動作が得られず、手作業での対応が必要になった経験があったといい、TiDBの「ほぼ完璧に動いた」という結果は、TiDBを採用する決め手となった。

他にも、大規模なユーザー数とデータ量に耐えうるかを確認するため、負荷テストも実施。検証を進める中、共有ロックに関する問題、モニタリングツールとして利用しているDatadogとの接続性など、いくつかの技術的な課題も見受けられたが、PingCAPによるサポートによって迅速に解決できたという。
なお、TiDB導入にあたっては「TiDB Cloud Serverless」を検討していたものの、最終的には「TiDB Cloud Dedicated」が選択された。その理由として、当時はTiDB Cloud ServerlessがシングルAZ構成で、可用性に懸念があったことが挙げられる。また、バージョンアップのタイミングについては、ビジネス要件とあわせて自社でコントロールしたいという意向もあった。加えて、監査ログ機能をTiDB Cloud Dedicatedでしか利用できなかった点も大きかったとする。
TiDB Cloud Dedicatedでは、ノードのサイジングやクラスタ構成の設計要素などは増えるものの、従来のデータベース運用と比較すればチューニングの労力は大幅に削減可能だ。これらの検証を経て、myTOKYOGASにおけるマイクロサービスのデータベースとして、2024年11月に「TiDB Cloud Dedicated for AWS」が本番導入された。
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EnterpriseZine編集部(エンタープライズジン ヘンシュウブ)
「EnterpriseZine」(エンタープライズジン)は、翔泳社が運営する企業のIT活用とビジネス成長を支援するITリーダー向け専門メディアです。データテクノロジー/情報セキュリティの最新動向を中心に、企業ITに関する多様な情報をお届けしています。
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提供:PingCAP株式会社
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