TiDBがもたらした安定稼働 エンジニアが“事業貢献”に集中できるように
TiDBの導入は、東京ガスの内製開発チームに大きな効果をもたらしている。2024年11月の導入から半年近く経過しているが、大きな問題はこれまで発生していない。中島氏は、アプリケーションの稼働を確認するチームミーティングでは、「『今日も平和だね』という会話を交わすほど、運用は安定しています」と語る。青木氏も「われわれで手をかけるところは、日常の運用ではほぼないため、期待通りでした」と述べるなど、TiDBによる運用負荷の削減効果を実感しているようだ。
現在、アプリケーションの運用状況は、先述したようにDatadogで定期的にモニタリングしている。Datadogのダッシュボードでも、TiDBには異常な動きが見られないという。また、「無停止でバージョンアップできると聞いており、将来的なメンテナンスについても懸念は少ないです」と迫田氏は述べる。これまで、TiDBが原因となるメンテナンスウィンドウやアプリケーション停止は発生していない。
この安定稼働と運用負荷の低減効果は、エンジニアがビジネスロジックの改善、新機能の開発に注力できる環境を提供している。「エンジニアがインフラを意識せず、ビジネスロジックに集中できる環境となり、開発環境が大きく変わりました」と迫田氏。ビジネスとデジタル、双方の担当者が共通目標を掲げて変革に取り組んでいくため、運用負荷が極めて小さいTiDBの貢献は大きいという。
今後、東京ガスは内製開発の領域をさらに広げていく方針だ。myTOKYOGASで培ったエネルギー料金や使用量、ポイントといったデータは、他のプロダクトにも共通利用していく。これらのデータを活用できるようにマイクロサービス化も続いている。何よりも東京ガスのエンジニアにとっては技術基盤の安定や維持にとどまらず、「事業へ直接的に貢献すること」が重要なミッションだ。
その目標に向けてはTiDBへの期待も大きく、将来的に新たな大規模データを保存する必要が生じた場合、まずはTiDBを検討することになるという。(TiDBによって)エンジニアはデータベースから解放された、“ビジネスロジックに集中する”ための開発・運用スタイルを確立できる。それにより、エンジニアは事業貢献に全力を注いでいく。
青木氏も、今後プロダクトが増えていく中で、専任のデータベースエンジニアを多数採用するのではなく、TiDBを最大限に活用しながらインフラをスケールさせていく方針を示す。TiDBのスケーラビリティと、マイクロサービス基盤を組み合わせることで、内製チームのエンジニアに高品質なインフラを提供していけるという。

なお、今回取材に応じてくれた中島氏と青木氏は、2025年10月3日にハイブリッド開催される「TiDB User Day」でも、アプリケーションとインフラそれぞれの視点から、TiDBの活用事例について講演を行う予定だ。これは同社がTiDBの導入に成功し、それを積極的に外部に発信する意欲の表れでもあるだろう。TiDBは、東京ガスのDX推進と内製開発組織の強化において、不可欠なパートナーとして存在感を高めていると言えそうだ。
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EnterpriseZine編集部(エンタープライズジン ヘンシュウブ)
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