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国内最大級のSaaS企業ラクスはあえてオンプレミス強化 「クラウドネイティブ・オンプレミス」戦略とは

キーワードは、「コスト最適化」「経営戦略へのアラインメント」

 パブリッククラウドが当然視される時代、創業25年を迎えるSaaS企業のラクスは一貫してオンプレミスを堅持してきた。「楽楽精算」をはじめとするバックオフィス効率化サービスで急成長を遂げる同社が掲げる「クラウドネイティブ・オンプレミス」という独自戦略とは何か。上級執行役員 兼 開発本部長の公手真之氏は「経営として合理的だからこそ、オンプレミスを選んでいる」と語る。パブリッククラウド全盛期にあえて自社インフラを進化させつづける企業の勝算と、そこから見える新たなSaaS運営の可能性を聞いた。

2000年代から築いてきた運用基盤──クラウド時代だからこそオンプレミスを選んだ背景

 ラクスは2000年に設立され、「メールディーラー」「配配メール」といったフロント向けのサービスをはじめ、「楽楽精算」などのバックオフィス業務効率化のためのSaaSを展開する東証プライム上場企業だ。創業以来、継続的な成長を続け、2025年時点で連結従業員数約3,000名を擁する。そうした同社は、SaaS企業には珍しく、一貫してオンプレミス環境で自社サービスを提供している。パブリッククラウドが主流となった現在でも、経営の合理性を重視してオンプレミス基盤を進化させつづけている戦略は、SaaS企業としては珍しいと言えるだろう。

 同社の開発・運用チームを率いる公手真之氏は、Web黎明期にグラフィックデザイナーとしてキャリアをスタートした経歴を持つ人物。「1996年から97年ごろにWebサイトの仕事が増えていきました。コンピューターが好きだったので、そういう系統の仕事が来るようになりました」と振り返る。

株式会社ラクス 上級執行役員 兼 開発本部長 公手真之氏
株式会社ラクス 上級執行役員 兼 開発本部長 公手真之氏

 技術への関心から独学でプログラミングを習得し、創業2年目で10人程度だったラクスにジョイン。当時の主力サービス「メールディーラー」の開発からインフラ構築まで幅広く手がけ、現在の大規模化したインフラ環境まで、一貫して同社の技術基盤構築を支えてきた。

 現在、ラクスの開発本部はオフショアを含めて390人程度の規模にまで成長しており、公手氏は「若いエンジニアはクラウドネイティブな技術に興味を持ち、AIネイティブでもあります」と特徴を説明する。2025年5月には「AIエージェント開発課」を設立し、主力の「楽楽精算」においてAIエージェントなどの機能開発も加速させている最中だという。

 そうした同社のITインフラ戦略を理解する上で重要なのは、主力サービスとなった「楽楽精算」ローンチ(2009年)以降の状況だ。「当時、パブリッククラウドという選択肢は主流ではありませんでした」と公手氏。2011年頃を転換点として市場の形成とともに急成長した同社は、2015年にはベトナムに開発拠点を立ち上げる勢いであり、インフラ基盤の拡充も求められていた。このとき既にAmazon Web Services(AWS)が日本に上陸していたものの、公手氏は「クラウド移行に必要なコストを試算しましたが、高額になるだけでなく、相応の工数も必要なことがわかりました。パブリッククラウドに移行する、という選択肢はとれないと判断しました」と説明する。

 特に重要だったのが運用体制の成熟度だ。既に「メールディーラー」で数百台規模のサーバー運用の経験を蓄積してきた中、「当時、エンジニアを50人弱抱えており、その人的コストをまかなえるだけの売り上げもあったため、あえてパブリッククラウドに移行する合理的なメリットがありませんでした」と公手氏。米国進出時にはレイテンシーの問題もあるためAWSを利用していたといい、オンプレミスにことさらこだわるのではなく、技術的・経済的な合理性に基づく、柔軟な判断こそがインフラ基盤の運用に求められるという。

 もちろん、物理マシンは故障がともなうためハードディスクの故障など、毎週のように夜間作業の必要はあった。そうした運用負荷の軽減を図るため、2012年頃からVMwareを導入。仮想化環境への移行には約1年を要したが、夜間メンテナンスを減らすことができた。そして大きな転換点となったのが、ハイパーコンバージドインフラ(HCI)の導入だ。公手氏は、その導入効果を次のように説明する。

 「VMwareでは、自分たちでクラスタ構成を複数のハードウェアに作り、ネットワーク設定も行っていました。しかし、HCI導入後はノードを追加するだけで済むなど、メンテナンスコストをさらに減らすことができました」

 なお、ベンダーロックインを回避する観点から、VMwareをHCI上にESXiで運用しつつ、Nutanixのハイパーバイザーでも運用している。

次のページ
ラクスが目指す「クラウドネイティブ・オンプレミス」とは?

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この記事の著者

森 英信(モリ ヒデノブ)

就職情報誌やMac雑誌の編集業務、モバイルコンテンツ制作会社勤務を経て、2005年に編集プロダクション業務とWebシステム開発事業を展開する会社・アンジーを創業した。編集プロダクション業務では、日本語と英語でのテック関連事例や海外スタートアップのインタビュー、イベントレポートなどの企画・取材・執筆・...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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