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日本企業の「人への優しさ」がAI活用の足かせに?経済産業省が官民連携で進める“現場データのAI化”

「全員AI人材」を実現している先進企業事例から学ぶ教訓

“現場データのAI化”がカギに 経産省が官民連携で進める施策

 経済産業省は前述の課題意識に基づき、AI時代の競争力を確保し、社会実装を促進するためのプログラム「GENIAC(Generative AI Accelerator Challenge)」を2024年2月から運営している。これは現場データをAI化し、AIエンジニアリング能力の向上を図るための支援策であり、「計算資源」「データ」「ナレッジ」の3つの側面から構成されている。

 同プログラムは6ヵ月を1サイクルとする期間で進行しており、段階的に支援の焦点を進化させているという。詳細は以下のとおり。

  • 第1期(2024/2〜8): 目的は「生成AI基盤モデル開発者の基礎体力作り」であった。当時はGPU調達が困難だったため、経産省がGoogle CloudやMicrosoft Azureから計算資源を一括調達し、スタートアップのモデル開発を支援。この期間で300名超が開発を経験し、日本としての基礎体力作りを達成したという
  • 第2期(2024/10〜2025/4): 目的は「社会実装を見据えた基盤モデル開発」へとシフト。推論の効率化や、ある領域に特化させた高性能モデルの開発など、ビジネス化を見据えた開発が促進された。補助率も中小企業・スタートアップなどに対して3分の2に引き上げられ、データ整備に必要な費用も経費の対象に加わった
  • 第3期(2025/8〜2026/2): 現在進行中であり、ユーザーと連携した実証を推奨するなど、より社会実装に踏み込んだ開発が支援されている

 なかでもGENIACが特に重視するのは、現場データのAI化だ。競争力を持つAIを生み出すためには、まだAI化されていない現場の非構造化データ(保全記録、設備図面、取扱説明書など)を、構造化・半構造化データに整理し、AIモデル向けの加工データに変換するプロセスが必要である。

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 このAI化を効率的に進めるため、GENIACではデータスペースの構築を支援しているという。データスペースとは、特定の領域におけるデータを収集し、活用を促すための仕組みであり、以下の要素が重要とのことだ。

  • 適正な利益分配:様々なデータ提供者(AI開発者、AI利用者)に対する適正な利益分配を確保することが重要
  • 信頼性の高いデータ流通:データ流通の信頼性を担保することが重要
  • エコシステムの創出:データを起点にしたエコシステムのモデル事例を創出することが重要

 また、フィジカルAIの開発促進も重要視されている。「フィジカル分野の基盤モデルにより、汎用・自律的なロボットの動作が可能になると期待されている」と渡辺氏。日本ではオープンなデータ基盤の成長を加速させる戦略が採られており、主に一般社団法人AIロボット協会の活動などが支援されている。

 この取り組みは、協調領域(データ基盤・基盤モデル)と競争領域(個別モデル・社会実装)を分け、圧倒的に不足するフィジカル分野のデータ収集からデータ基盤を用いた基盤モデルの開発、さらにそれを基にした個別モデルの開発、社会実装に至るまでの一連のサイクルを促進し、国内の多様なプレーヤーの参画を促すことを目指している。

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目指すは「全員AI人材・全社AI企業」 先進企業の事例から学ぶ

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奥谷 笑子(編集部)(オクヤ エコ)

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