IBM製品との連携が生む実行力
製品ロードマップを紹介したIBM Apptioの最高製品責任者(CPO)のユージン・カブストフ(Eugene Khvostov)氏は、「データの99%以上が未分析のまま眠っている」という現状認識から話を始めた。強調されたのは、「人間のスピードからAIのスピードへ移行する必要がある」という表現である。ここでいうスピードとは、処理速度ではなく意思決定のサイクルを指している。
発表された新機能群であるAI-Assisted Data Classification & Data Normalization(TBM Studioにて支出データをAIで自動分類)、SPM Control Center & Workforce Management(リソース・優先順位を戦略と接続)、Apptio Report Studio(ドラッグ&ドロップで複雑なレポートを作成)、AI Lens(CloudabilityのダッシュボードをAIが自動要約し、経営層向け洞察を生成)、Conversational Insights(Apptio全製品に自然言語Q&Aと推奨機能を実装)などは、いずれもインサイトから行動までのリードタイムを短縮する方向を向いている。
とくに注目すべきは、LLMを活用したデータ分類の自動化と自然言語でのインサイト抽出だろう。これまでTBM導入の障壁だった初期設定の煩雑さや、データ整備の工数が軽減されれば、導入企業の裾野は広がる可能性がある。一方で、カブストフ氏が「インサイトだけでなく行動まで伴って初めて価値が生まれる」と強調したように、可視化だけでは不十分で、それをどう意思決定につなげるかという組織的な仕組みが問われることになる。
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京部康男 (編集部)(キョウベヤスオ)
ライター兼エディター。翔泳社EnterpriseZineには業務委託として関わる。翔泳社在籍時には各種イベントの立ち上げやメディア、書籍、イベントに関わってきた。現在はフリーランスとして、エンタープライズIT、行政情報IT関連、企業のWeb記事作成、企業出版支援などを行う。Mail : k...
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