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井無田仲と探る「変革のフロントライン」

松屋 古屋毅彦×テックタッチ 井無田仲──伝統と革新の両立を実現する、松屋銀座のデジタル変革の舞台裏

老舗百貨店の5代目が進める「リアル体験」の再定義

リアル体験の再定義──“買う理由”を生み出すオムニチャネル戦略

井無田:百貨店では商品だけではなく、「体験」も売っていると思っています。

古屋:そうですね。消費は「楽しい消費」と「必要に迫られる消費」の2種類があると考えています。後者の場合は近所やECで済ませることが多く、電車代を払ってわざわざ出かけてまで買う人は少ないのではないでしょうか。百貨店に足を運んでくださる方は、その空間で買い物をする楽しさ、非日常の特別感を求めていらっしゃる。そうした“体験の価値”こそ、百貨店の本質だと思います。

 たとえばイチゴ一つとっても、百貨店で置いているブランド品は、スーパーの数倍の価格です。それでもお客様が選んでくださるのは、「価格を裏切らないだろう」という安心感と信頼、そしてサービスがあるからです。松屋ブランドへの信頼、つまりクレジットをきちんと価値として見せていくことが大切だと思っています。

井無田:松屋銀座はいつ行っても人が多い印象です。銀座という街のパワーも健在ですね。

テックタッチ株式会社 代表取締役CEO 井無田仲氏
テックタッチ株式会社 代表取締役CEO 井無田仲氏

古屋:そうですね、むしろ強くなっていると感じます。やはり、インバウンドの影響は大きいです。たとえば、以前は平日午前中の来店は少なかったのですが、外国人旅行客の方は朝9時には街に出てこられます。開店と同時に来店されるため、午前中の来店者数が増えました。

 雨の日はそれが顕著です。銀座は、新宿や渋谷のようなターミナル駅ではないため、雨天日はトラフィック(人の動きや来店者数)が減ることが弱点でした。けれども今は、雨天時は旅行者の方々が雨の日に百貨店を巡って長時間過ごしてくださるようになり、われわれの弱点が改善されています。

 一方で、土日は混み過ぎてしまい、別の街に人が流れてしまう傾向があります。2024年にサービス提供を始めた「matsuyaginza.com」で、リアル店舗とデジタルを融合したオムニチャネルを試みている理由の一つは、トラフィック面で人のフローを分けたいからです。買うものが決まっていてピックアップだけで済ませたいお客様と、接客を楽しみたいお客様で予約を分けられると、お客様の不満やわれわれの課題が解消されるのではと思っています。

井無田:オムニチャネルの対象は外国人旅行客の方ですか。

古屋:さまざまです。いつも買う口紅が決まっているのに、毎回待たないといけないことを不満に思っている日本人のお客様もいらっしゃる。そういう方はピックアップだけで済むため、積極的に使っていただきたいと思っています。

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「買い物自体をポジティブに」松屋銀座が目指す“幸せの循環”とは

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この記事の著者

井無田 仲(イムタ ナカ)

テックタッチ株式会社 代表取締役慶應義塾大学法学部、コロンビア大学MBA卒
2003年から2011年までドイツ証券、新生銀行にて企業の資金調達/M&A助言業務に従事後、ユナイテッド社で事業責任者、米国子会社代表などを歴任し大規模サービスの開発・グロースなどを手がける。「ITリテラシーがいらなくなる...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

中釜 由起子(ナカガマ ユキコ)

テックタッチ株式会社 Head of PR中央大学法学部卒。2005年から2019年まで朝日新聞社で記者・新規事業担当、「telling,」創刊編集長などを務める。株式会社ジーニーで広報・ブランディング・マーケティング等の責任者を経て2023年にテックタッチへ。日本のDX推進をアシストするシステム利...

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