【特集】PKSHA・セールスフォース代表/ソニー・ダイハツAI推進リーダーに聞く2026年の抱負と予測
2025年末特別インタビュー:「AIカンパニー/AI推進リーダー」編
2026年はAIエージェントの「成果」が可視化される年(セールスフォース・ジャパン 小出伸一氏)
2025年の振り返り、2026年の展望
2025年は、日本企業における生成AI導入が「実証」から「実践」へ進化し、AIエージェントが実際の業務で成果を生み出す転換点となりました。企業は効率化だけでなく、「人とAIが共創する働き方」や「顧客体験の再設計」に取り組み、AIが経営の中核に位置づけられています。Salesforceは、AIエージェントをビジネスプロセスに統合する次世代モデル「エージェンティック エンタープライズ(Agentic Enterprise)」を提唱し、自律型AI基盤「Agentforce 360」を日本市場で展開。顧客管理、マーケティング、カスタマーサービスなどでのAI活用を推進しました。また自社でもAIエージェントを導入し、「カスタマーゼロ」として検証と改善を重ね、社員のリスキリングを通じてお客様の成功を支援しました。
株式会社セールスフォース・ジャパン
代表取締役会長 兼 社長
小出伸一氏
日本IBM取締役、ソフトバンクテレコム副社長兼COO、日本HP社長を経て、2014年にセールスフォース・ドットコム代表取締役会長兼CEOに就任。2016年より現職。日本企業のAI導入を推進し、データ活用戦略を支援している。2018年より三菱UFJ銀行社外取締役。
2026年は、AIエージェントが日本企業で本格稼働し、成果が可視化される年になります。Agentforce 360を中核に、Slack、Tableau、MuleSoftなどと連携し、人・アプリ・データを統合するAI基盤を提供。人手不足や生産性向上、顧客体験の高度化など社会課題の解決に貢献します。さらに、Informatica買収により信頼できるデータ基盤を強化し、AIが高品質な推論と行動を実現。Salesforceは「信頼(Trust)」を軸に、人とAIが協働する新しい企業像を支え、お客様の変革と成長を後押しします。
“現場主導”でデータ/AI活用が進んだ1年、来年は「人・データ・組織」をつないで全社的挑戦へ(ダイハツ工業 太古無限氏)
2025年の振り返り、2026年の展望
2025年は、現場で地道に積み上げてきた取り組みが実を結び、成果として目に見えるかたちになった一年でした。様々な部門でデジタル技術を活用し、業務課題に即した“個別最適”のデータ活用が現場主導で進みました。個別部門だけではなく全社においても、社内向けの生成AI基盤「D-AI-hatsu Assistant」が、多くの社員にとって日常業務の中に自然と入り込む存在となり、現場から自律的に改善の芽が生まれ始めています。こうした取り組みが社外でも評価され、複数の賞をいただく機会にも恵まれました。
一方で、私たちは常に「誰が、何のために、何を、どのように解決すべきなのか」という本質的な問いを重視しています。ツールを使うことが目的化しないよう、課題の解像度を高め、技術を正しく活用する努力を続けてきました。データやAIは、“使えば成果が出る”という単純なものではなく、問いを立てる力と、それに向き合う現場の意思があって初めて意味を持つと考えています。そのため、人材育成にも2020年から注力しており、今年度はついにデジタル技術の活用による業務効率化や変革を行うことができる人材を1,000名育成することができました。
ダイハツ工業株式会社
DX推進室 デジタル変革グループ長 (兼) 東京LABOシニアデータサイエンティスト (兼) DX戦略担当
太古無限氏
2007年ダイハツ工業入社後は開発部にて小型車用エンジンの制御開発を担当。2020年から東京LABOデータサイエンスグループ長、2021年からDX推進室データサイエンスグループ長(兼務)を経て、DX推進室デジタル変革グループ長(兼)東京LABOシニアデータサイエンティストとして、全社のDXを推進する業務に従事。その他に、滋賀大学データサイエンス学部インダストリーアドバイザーとして、社外におけるAI活用の普及活動にも努める。経営学修士。「Forbes JAPAN CIO Award 2024-25」にて、次世代のテクノロジーリーダーのひとりとして「チェンジレガシー賞」を受賞。テクノロジー業界のオスカーと呼ばれている「CIO 30 Awards JAPAN 2025」の特別賞を受賞。
2026年は、これまで育ててきた個別の取り組みを、つなぎ直していく一年になると考えています。ダイハツが目指すDX実現においては、部門単位ではなく、全社で“ワンチーム”となって知恵と力を持ち寄る必要があります。人・データ・組織をつなげることによって、現場の小さな挑戦が全社へと波及する仕組みを整えていく。それが、私たちが次に取り組むべき課題だと感じています。2026年も、変化に強い現場づくりと、挑戦が継続する文化づくりを粘り強く進めてまいります。
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