脱モノリシック構造・脱サイロ化へ!SMBC日興証券が挑むグループ共通「API基盤」構築
APIは事業変革の中核的テクノロジーに:Kong API Summit Japan 2025レポート
レガシーの崖を越えろ、次世代を戦うためのAPI基盤に求めた要件
続いて同社 システム企画・ITアーキテクト課で課長を務める平間晃氏が、API基盤導入の背景とKong選定の理由を解説した。
金融業界のシステムは、1980年代にはメインフレームが中心だったが、1990年代半ばに入るとオープン化の波が起こった。ところがシステム同士が複雑につながり個別最適化が進んだ結果、2016年頃にモノリシック構造による開発・運用の硬直化という課題に直面する。「新しいサービスの開発や修正が難しくなり、運用も硬直化した」と平間氏は話す。

新たに同社が目指すのは、フロント・ミドル・バックのシステムを分離し、APIを通じて必要な機能を柔軟かつ迅速に提供できる仕組みだ。このアーキテクチャにより、金融サービスをよりスピーディに市場へ届けられるようになる。さらに、業務ロジックとセキュリティを分離し、認証・認可を一元管理することで、安全性と俊敏性の両立を実現できるようになる。
こうした背景から、同社は「外部向けデジタルサービスの短期構築」と「APIアーキテクチャ変革」という2つの課題に同時に対応できる製品を求めた。特に重要なのは、オンプレミスとクラウドにまたがって構築されていくシステムを効率的に連携させることだ。平間氏はKongの選定で重視した5つの要件を示した。

1つ目は「多様な環境への適応性」だ。オンプレミスとクラウドが混在するハイブリッド環境でもKongなら柔軟に対応でき、堅牢性や高可用性にも優れているため、金融業界のミッションクリティカルな業務にも安心して利用できる。
2つ目は「APIゲートウェイの分散配置・連携」だ。高いパフォーマンスや多様性を求められる金融業界にとって、複数のシステムやインフラにAPIゲートウェイを分散配置し、各システム・インフラを効率的に連携・横断管理できる点は魅力的だ。Kongはこの分散構成に強みがあった。
3つ目は「外部向けサービス対応」だ。顧客やパートナー向けに安全にAPIを公開するためには、当然だが高いセキュリティ水準が欠かせない。そして4つ目は「軽量かつ高速な動作」。オンプレミスとクラウド間の通信を、負荷を抑えつつ迅速に処理できる点が、金融業界の高いパフォーマンス要求にぴったりだった。
最後の5つ目は「機能の拡張性」だ。様々なインフラ環境やシステムにAPIを分散配置することが今回の前提にあるが、配置先ごとに非機能要件はそれぞれ異なってくる。そこで、必要最低限の機能を備えながらも、将来的なニーズや技術革新に合わせて柔軟に機能追加できる点が重視された。「Kongは、現在の課題解決だけでなく、将来的な生成AIとの連携や、社外API公開などの展望にも柔軟に対応できるプラットフォームだ」と平間氏は評価した。
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森 英信(モリ ヒデノブ)
就職情報誌やMac雑誌の編集業務、モバイルコンテンツ制作会社勤務を経て、2005年に編集プロダクション業務とWebシステム開発事業を展開する会社・アンジーを創業した。編集プロダクション業務では、日本語と英語でのテック関連事例や海外スタートアップのインタビュー、イベントレポートなどの企画・取材・執筆・...
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