脱モノリシック構造・脱サイロ化へ!SMBC日興証券が挑むグループ共通「API基盤」構築
APIは事業変革の中核的テクノロジーに:Kong API Summit Japan 2025レポート
個別最適から「全体最適」への転換、グループ内SIerも製品選定に関与
講演後には平間氏と、同じくシステム企画部の小川志保氏にインタビューをする機会があった。両氏に対し、まずは講演で語られたAPI戦略の具体的な経緯と課題について尋ねた。
SMBC日興証券でのAPI基盤導入の構想は、一朝一夕に生まれたわけではない。「システムのモダナイズについては、2016年頃から『レガシーの課題に対応しなければ』という機運が高まり、そこから全体構想を描き始めた」と平間氏は振り返る。
平間晃氏
構想を進める中で、APIの必要性が明確となったのは2020年~2021年頃だった。そこで、2022年の中期経営計画策定時に現在のアーキテクチャ構想を描いたという。その後、同社はスモールスタートでAPI活用への道のりを歩み出した。
「まずは小規模でAPIを作ってみて、フロントで利用して本当に価値あるものなのかを検証し始めました。そして2023年頃に、本格的にAPIの重要性を確信しました」(平間氏)
同社をはじめ金融業界において、API連携そのものは決して新しい概念というわけではない。ただし、従来の連携方法には課題があった。小川氏は、「現在はチャネルごとにシステムが存在し、それぞれがモノリシックな構造になっている」と話す。
顧客向け、社内向け、さらにはその中でも営業向け、などの領域ごとに管理が分かれているという。これでは全体最適の視点に欠けるほか、さらなるスピードや柔軟性の追求といったデジタル時代の要求に応えるのが難しい。
「デジタルチャネルが増え、お客さま一人ひとりの行動様式も多様化する中では、チャネル単位でシステムが分かれているのは非効率です。機能を共通化・API化し、それらのAPIをAPIゲートウェイを通してフロント側で用途に合わせて柔軟に使いこなせる環境へとシフトする必要があったのです」(小川氏)
同社でKongの導入検討が本格化したのは2024年だ。当初は別の製品も検討していたが、分散配置の要件に応えられるかが不透明だったため選定に悩んでいたという。「外部公開向けをコンセプトに設計されている製品だと、どうしても機能が重たくなりがちだった」と平間氏は振り返る。
こうした背景もあり、軽量性に優れるKongの導入を決定したとのことだ。必要最低限の機能でコンパクトに導入できるため、試しやすかったそうだ。選定にあたっては、グループ会社でシステムの開発・運用を手掛ける日興システムソリューションズ(以下、NKSOL)の評価も重視された。
「NKSOLは、長年にわたり当社のシステム開発を担ってきた会社です。グループ外の金融機関や証券会社などに向けたSI事業も展開しています。特に、堅牢性については本当に目利きのレベルが高いんです。NKSOLの担当者においてもKongを見てもらい、そこでマルがついたことも導入決定を後押ししました」(平間氏)
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森 英信(モリ ヒデノブ)
就職情報誌やMac雑誌の編集業務、モバイルコンテンツ制作会社勤務を経て、2005年に編集プロダクション業務とWebシステム開発事業を展開する会社・アンジーを創業した。編集プロダクション業務では、日本語と英語でのテック関連事例や海外スタートアップのインタビュー、イベントレポートなどの企画・取材・執筆・...
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