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脱モノリシック構造・脱サイロ化へ!SMBC日興証券が挑むグループ共通「API基盤」構築

APIは事業変革の中核的テクノロジーに:Kong API Summit Japan 2025レポート

共通基盤の構築は、組織のサイロを打破する挑戦

 Kongの最初の導入先として選ばれたのは、同社が展開する顧客向けオンライン取引サービス「日興EZトレード(イージートレード)」だった。

 「EZトレードは、我々がお客さま向けに提供している取引のプラットフォームシステムです。今後、サードパーティの金融系アプリケーションとも連携することで、お客さま体験のさらなる向上が見込めます。そこを見越して、まずはここでAPI活用のための環境整備に向け着手し、成果を出していきたいと考えました」(小川氏)

 外部サービスとの連携というのは、ユーザーのニーズや社会の変化次第でいつ求められるかわからない。しかし必要に迫られてから対応するのでは、そこから2~3年と長い時間がかかってしまう。そのため、将来への備え、すなわち先行投資の意味も含んだ戦略的判断により導入プロジェクトが推進されている。背景には、Kongの技術サポートのほか、企画をSMBC日興証券が担い、実行をNKSOLが担当するという役割分担の最適化もある。

 なお、障壁や懸念がなかったわけではない。平間氏は技術面だけでなく組織面でもそれなりのハードルはあったと率直に語る。

 「先ほど申し上げました通り、長年にわたって個別最適で堅牢性や品質を維持してきたため、システムは複雑にサイロ化しています。その中で『共通基盤を作る』と一言でいっても、各部門との調整や合意形成をとりながら進めていかなければなりません。これはサイロ化を破る行為となりますので、組織的なチャレンジとしては非常に難易度が高くなります」(平間氏)

 ただし、このプロジェクトを機に本当にサイロ化が打破できれば、API基盤の導入以上に大きな効果が得られる。平間氏の発言を踏まえ、小川氏も組織変革の必要性を強調した。

 「共通基盤の導入によりアーキテクチャが大きく変わりますから、それに合わせて組織体制も変えていかなければいけないとグループ全体で考えるようになったんです。システム単位で組織が形成されてきた従来の体制から、共通基盤を各システムのSLA(Service Level Agreement)を考慮した形で管理していくような、新たな体制への転換が求められているのだと思います」(小川氏)

 開発のアプローチにも変化が起こる。APIによって開発、特にフロントの開発に柔軟性が増し、スピードアップもしてくると、必然的にアジャイルのような開発が増えていくだろう。また、ゆくゆくは内製化の動きも加速することが予想される。

 変革は事業部門にも及ぶ。「金融サービスのユーザー側、システム側から、サービスを提供しお客さまとの接点を持つ部門、開発に携わるNKSOLまで、すべての組織変革をテクノロジーの変化に合わせて遂行しなければいけない」と平間氏は語る。小川氏も、今回の共通基盤の導入が良いきっかけになったのではと前向きな見解を示した。

 最後には、AI活用を見据えたコメントも出てきた。小川氏は、「AIとの接続は急いでいきたい。その際は、Kongの『AI Gateway』としての機能にも期待したい」と述べる。AI利用が今後増えていく中では、組織内で誰が、何をどう使っているのかを一元的に管理する必要が出てくる。自社製品も含め、サードパーティのAIサービスも様々なものが使われるようになる。そうしたAIとの接続はAPI経由になることが予想されるため、その一元管理もKongのゲートウェイが提供する機能で実現できないか検討する予定とのこと。目指すのは、開発者の自由度を妨げない、かつ安全な環境づくりだ。

 平間氏もこれに同意し、「KongのAI Gatewayは比較的新しい仕組みであるため、まずはその技術を着実にキャッチアップして、あくまでも現場のニーズに即したものを実装していきたい」と語る。加えて、「SaaSの製品や各種基盤製品は定期的にアップデートされるため、単純に導入して終わりではなく、現場での運用実態を把握しながら随時アップデートしていく文化を根付かせていきたい」と結んだ。

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この記事の著者

森 英信(モリ ヒデノブ)

就職情報誌やMac雑誌の編集業務、モバイルコンテンツ制作会社勤務を経て、2005年に編集プロダクション業務とWebシステム開発事業を展開する会社・アンジーを創業した。編集プロダクション業務では、日本語と英語でのテック関連事例や海外スタートアップのインタビュー、イベントレポートなどの企画・取材・執筆・...

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