現在のシステム環境に求められる要件に応えられなくなったWindowsXP
現在、企業のWindowsユーザーの約8割がWindowsXPを活用しているとされる。長年にわたりユーザーの支持を勝ち得てきたXPだが、その限界が近づいていることも事実だ。
もともとXPは2001年に登場したOSで、設計自体は1999年にまで遡る。その後、約10年の間に企業を取り巻く環境も大きく変化した。個人情報保護法やJ-SOXなどの法制度や、セキュリティや情報漏洩、コンプライアンス、さらには省エネ、環境負荷などへの対策の要求も強くなっている。
OS設計時点では想定されていなかった新たな要望に対して、Microsoftはサービス パック(SP)や修正モジュールを提供することで対応してきたが、それらで対応できない部分はベンダー各社のさまざまな製品がカバーすることになった。結果として、システム管理者はSPや修正モジュールとベンダー製品を、既存のシステムに影響を与えないように整合性を取りながら導入・運用することになった。
モグラたたき化するOSの維持管理
ご存知の通り、パッチの適用やセキュリティソフトの更新などの作業は決して軽いものではない。多くの場合、ユーザー環境ではバージョンが異なるOS、SP、セキュリティパッチが入り乱れた状態にあり、無闇にアップデートを行えば他の問題が噴出することもしばしばある。われわれの下にも障害頻度や対応負荷の増大についての相談が頻繁に寄せられる。多くの企業が、安心してOSを利用するために人的、金銭的に多大なコストを払っているのである。
これまで企業活動を安定的に支えてきたWindowsXPの功績は大きいものの、現在のシステム環境に求められる要件との間にはかなりのギャップが生じていると言わざるを得ない。例えば、情報漏洩対策を目的としたリムーバブルメディアの制御は、サービスパックによって対応がなされたが、個人情報保護法の施行時期と比べると後手に回った。また、グリーンITへの対応も、ハードウェアの省電力化に比べるとOSレベルでの対応はまだまだ改善の余地がある。ギャップを埋めるための対応は取られているものの、十分とはいえない状況だ。
陳腐化が目立ち始めたWindowsXPを、サポート終了がアナウンスされるまで使い続けていくのは、コストや運用管理面から見てもデメリットが大きい。それならば一層のこと、Windows 7への移行を好機と捉え、企業経営に戦略的に活用できるシステム環境の実現へと結び付けるべきではないだろうか。Windows 7は、その期待に十分に応えることができるOSとなっている。(次のページへ続く)