ある程度の規模では手動展開は非現実的
今回は、Windows 7を展開する方法を検討しよう。個人が自分のPCにインストールする場合はウィザードを使用するのが一般的だが、企業ともなると大きく話が違ってくる。
クライアントPCが10台程度のSOHO企業であれば同様の手法も考えられるが、それでも組織用にカスタマイズしたWindows 7の標準クライアントイメージを作成し、そのイメージのコピーを使ってクローニングする方がよいだろう。
いずれにせよ、手動展開はセットアップに必要なステップをひとつずつ確認しながら進める必要があるため、かなりの手間がかかる。アプリケーションをインストールすることも考えれば、企業では現実的な手法とは言えないだろう。
実際に、ある程度の規模を持つ企業がWindows 7を展開する場合は自動展開を行うことが多い。例えば、Windows展開サービス(WDS)によるネットワーク経由でのインストールなどが考えられる。
多数のクライアントを効率的にWindows 7に移行するための方法はいくつかある。ただし、展開するクライアントの台数によって最適解は異なるので、それぞれの特徴を理解しておこう。
Windows 7展開手法の4つの分類
Windows 7のクライアントへの展開方法は、主に以下の4分類が考えられる。
展開方法 | 概要 |
---|---|
ベーシック(基本) |
ユーザーがネットワーク経由でインストール |
スタンダード(標準化) |
管理者が一括でステージング&キッティング |
ラショナライズド(合理化) |
メーカー側で出荷前にカスタムイメージを展開 |
ダイナミック(動的) |
最低限のゴールデンマスターイメージをメーカーで展開 |
ベーシック
クライアントPCを使用する各ユーザーがネットワーク上に置かれたインストールソースを利用してOSやアプリケーションをインストールする。利用者が自分の机で作業を行うため広いスペースを用意する必要はないが、多数の従業員がソースにアクセスするため、ネットワークの負荷が高くなる。回線が細いリモート環境や拠点への展開は現実的には難しいだろう。当然、セットアップ作業中はユーザーの業務が中断してしまう。
スタンダード
周辺機器との接続設定などのようなハードウェアの構成作業(=ステージング)と、OSの利用に必要な設定作業(=キッティング)を一箇所で集中的に行う。ネットワークに負荷が掛からず、ユーザーの業務も中断しないためベーシックよりも効率的といえる。ただし、作業場所の確保が必要になるほか、旧クライアントからのデータ移行は各ユーザーで対応しなければならない。
ラショナライズド
メーカー側でキッティングを行ったOS導入済みのPCを納品してもらう。スペースの確保を含めたキッティングの負担からシステム担当者が解放される。ただし、ユーザーデータの移行課題は解決されない。
ダイナミック
ラショナライズド工場からの設定済みPCの納品に加えて、アプリケーションのセットアップやユーザーデータの移行、個別のカストマイズなどをクライアントPCの利用者がデスクサイドで行うための自動化ツールなどを整備する。(次ページへ続く)