新規開発だけでなくレガシーマイグレーションのユースケースも
AIアシスタントの「Amazon Q Developer」でも、仕様書を改訂すること自体は可能だった。しかしKiroは、仕様書とコードを常に最新の状態で維持できる点が異なる。モデルの選択も自由で、デフォルトのまま利用することもできれば、選択肢の中から好みのモデルに変更することもできる。
Kiroには多くの適用領域が考えられると瀧澤氏は説明する。例として最初に挙げられたのが、簡単なモバイルアプリだ。自分専用のシンプルな機能を備えたアプリなら、「こんなことができたらいいな」を起点にコードも仕様書も書いてもらう。多くのユーザーが使用するプロダクトの場合は、仕様書側を変更すれば、コードを書かなくても機能を充実させられる。
次に、複雑なCOBOLからJavaへの移行にも対応できる。今までは、変換ツールが出してきたコードすべてを人間がレビューしなければならなかった。しかしKiroであれば、仕様書を日本語でレビューできるため負担を軽減できる。「レガシーアプリケーションを塩漬けにしている日本企業の頭を特に悩ませているのは、仕様書とコードが一致していない問題だ。仕様書はほぼ確実に存在するが、事情があって、いつ更新したかがわからない場合が多い」と、瀧澤氏は指摘する。
このような場合は、Kiroを2つ同時に利用することで移行が可能だと同氏は方法を紹介した。まず、1つ目のKiroに仕様書を読ませてJavaのコードを書いてもらう。そして、2つ目のKiroにはCOBOLのコードを読ませてJavaに変換してもらう。2つの仕様書を比較し、不備を見つけたら修正して完全な仕様書にしてもらう。それをもとにJavaのコードを再度書いてもらうと、理論的に正しいコードで移行できる。
また、ファイル保存をトリガーにKiroがタスクを実行する「エージェント・フック」の設定も可能だ。たとえば、ファイルがサポートチームからの修正依頼ならば、Kiroがコード解析から始め、修正をするようなことも可能だという。さらに、Kiroではコンテキスト管理機能を利用して高度なこともできる。たとえば、MCPに対応している進捗管理システムであれば、MCPサーバー経由でKiroがそのシステムのタスクを実行できるのである。結果を人間が承認したら、次のタスクの実行に移るような使い方が可能だ。
(出典:アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社)
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冨永 裕子(トミナガ ユウコ)
IT調査会社(ITR、IDC Japan)で、エンタープライズIT分野におけるソフトウエアの調査プロジェクトを担当する。その傍らITコンサルタントとして、ユーザー企業を対象としたITマネジメント領域を中心としたコンサルティングプロジェクトを経験。現在はフリーランスのITアナリスト兼ITコンサルタン...
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