エージェントの自律性向上は今後も続く
AIドリブン開発の分野は動きがとても速い。瀧澤氏が進化の方向性を示しているとみるのが、フロンティアエージェント(Frontier agents)の動向だ。特に「Kiro Autonomous Agent」は、ライフサイクル全体のタスク実行に高度な自律性を持たせることができる。
大規模開発プロジェクトの場合は、GitHubでイシューを管理していることが多い。GitHubにイシューが上がったら、人間がやるか、Kiroがやるか分担を決める。コードを少し変えればよい単純なものだけでなく、複雑なものまでKiroは担当できる。
(出典:アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社)
たとえば、データベースへの接続が必要なタスクでは、開発環境を個別に立ち上げ、デプロイ、テスト、人間のチェックを経てから本番環境への移行が必要になる。これをAutonomous Agentに任せたい場合どうするか。イシューが上がってきたが、人間は移動中ですぐに対応できない。
そんな時、Autonomous Agentに「やってほしい」と頼むと、「わかりました。このように進めようと思います」と計画を示した上で代わりに実行してくれる。「やってみたらこんな問題が出てきたので、こうします」と、結果だけでなく途中経過の問題や提案も知らせてくる。タスクが完了したら、「これでどうですか」と確認を依頼してくる。問題がなければそのままイシュー解決だ。短時間で終われば、人間は「いいね」と返すだけになることもありうる。タスクが複雑な場合は、数時間から数日を要する場合もあるが、その間も実行は続けてくれる。終わったら、どのくらい時間がかかったかも知らせてくれる。いわゆる、開発チームの一員として動けるのがKiro Autonomous Agentだ。
「Autonomous Agentは、様々なツールやシステムと連携しながら、人間がやっていた複雑なタスクを自律的に実行する。開発生産性の向上にインパクトを与えていくことになると思う」と瀧澤氏は述べ、自律性向上が今後の方向性になるとした。
確実に言えるのは、自律性が高まるほど人間の負担が減るということだ。しかし一方で、AIがやることの“確からしさ”を証明することが重要になると同氏は釘を刺した。数学的に結果を証明する技術を導入するなど、AIエージェントの自律性を人間が信頼できるようにする手法、より高度なガードレール設定を実装していくことになるとみられる。
さらに瀧澤氏は、AIエージェントのアラインメントリスクの低減も重要だと考えている。たとえば、「Aという指示をしたのに、結果はBだった」あるいは「結果の見た目はAだが、中身はAとはまったく違う」など、人間の入力内容とAIの出力内容に整合性がなかった場合、修正コストが大きくなる。このリスクの低減に向けてAWSはサービスの強化を続ける。
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冨永 裕子(トミナガ ユウコ)
IT調査会社(ITR、IDC Japan)で、エンタープライズIT分野におけるソフトウエアの調査プロジェクトを担当する。その傍らITコンサルタントとして、ユーザー企業を対象としたITマネジメント領域を中心としたコンサルティングプロジェクトを経験。現在はフリーランスのITアナリスト兼ITコンサルタン...
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