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トランプ関税で露呈した、日本企業の「税務機能」の弱さ──主導するのは財務部門?自社の税務を再定義せよ

「EY Finance Summit 2026」レポート Vol.2

 かつて、これほど「関税」という言葉が人々の関心を集めたことがあっただろうか……。ほとんどの日本企業は、これまで関税を「当たり前に支払うコスト」と捉えてきた。しかし今や、関税は企業の収益構造に直結する経営課題として急浮上している。これにより、最近になって初めて税務の仕事に深く関与するようになったという財務担当者の方もいるのではないだろうか。欧米では、戦略的な税務マネジメントは半ば当たり前に行われてきた。日本企業もグローバル競争で遅れないよう、早急に税務機能の高度化を図らなければいけない。2026年2月16日に開催された「EY Finance Summit 2026」の分科会で、EY税理士法人やEY Japanのプロフェッショナルたちが、税務・関税ガバナンスの変革に向けた課題と展望を語った。

税務機能のほとんどが“ルーティン業務”に割かれている

※本講演は、2026年2月16日時点の最新情報に基づいて行われた。

登壇者紹介
講演者紹介

 まずはEY税理士法人の進谷敏一氏が、日本企業におけるグローバル税務管理の現状を概観した。サプライチェーンに影響を及ぼす地政学リスクに加え、トランプ関税を皮切りに流動化する関税、さらにはBEPS 2.0(グローバル・ミニマム課税)、AIを活用したグローバルマネジメント、ビジネスサイドとの協業強化……。現在、こうした複合的な圧力が重なり、税務機能の抜本的な変革が迫られている。「自社でガバナンスを構築し、高度化させていかなければならない時代が到来した」と同氏は述べる。

 現状、日本企業の税務機能には構造的な課題がある。従来からのルーティン業務(45%)と主要機能(35%)が時間の大半を占めており、高付加価値業務には全体の20%しか充てられていないのだという(図1)。進谷氏はこの三角形を、高付加価値業務を最上位とする逆三角形へ転換することが理想の姿だと語る。

図1
図1

 ところが、現実は逆の方向に動いている。日本企業の多くは、コンプライアンス業務対応に追われ、本来検討すべき課題について割く時間がない。目先の対応業務が増える一方で、問題がある現在の三角形がさらに深刻化してしまっているのだ。これにより、高度化がますます難しい状況になっているのだという。

 この現状を打破するための手段として、進谷氏は1つ目にAIをはじめとするテクノロジーの活用、2つ目に外部専門家との「協働(コソーシング:Co-sourcing)」を挙げた。これによりルーティン業務を効率化し、生まれた余力を、企業成長につながる高付加価値業務へ振り向けるのである。この2つのアプローチについては、後ほど詳述する。

次のページ
なぜか日本では、財務担当者の多くが「税務」とは無縁だった

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この記事の著者

森 英信(モリ ヒデノブ)

就職情報誌やMac雑誌の編集業務、モバイルコンテンツ制作会社勤務を経て、2005年に編集プロダクション業務とWebシステム開発事業を展開する会社・アンジーを創業した。編集プロダクション業務では、日本語と英語でのテック関連事例や海外スタートアップのインタビュー、イベントレポートなどの企画・取材・執筆・...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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