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トランプ関税で露呈した、日本企業の「税務機能」の弱さ──主導するのは財務部門?自社の税務を再定義せよ

「EY Finance Summit 2026」レポート Vol.2

なぜか日本では、財務担当者の多くが「税務」とは無縁だった

 続いてEY Japanの葉映秀氏は、地政学リスクに焦点を当てた。EYのグローバル調査では、日本企業の90%が「今後24ヵ月でサプライチェーンに中程度以上の変更を実施する」と回答したようだ(図2)。保護主義の台頭や米中間の緊張を背景に、関税ガバナンス強化の重要性も一段と高まっている。

図2
図2

 葉氏の問題提起を受け、EY税理士法人の原岡由美氏が詳細を説明した。まず関税とは、モノが国境を越えるたびに課される税のことであり、製造原価・販売原価の一部を構成するものである。つまり、「税引前の利益に直結する税」ということだ。

 にもかかわらず、多くの日本企業は無意識のうちに関税を「当然支払うべきコスト」だと捉えている。そのため、グローバルで関税コストを管理する本社機能が整備されてこなかったのだという。一方、欧米では、関税は「管理すべきコスト」だという認識が定着しており、本社に専門部署を持つ企業が多い。この差が、トランプ関税への初動のスピードに如実に表れた。多くの日本企業が対応の決断で遅れてしまったのだ。

 もちろん、日本企業もいつまでも戸惑っていたわけではない。日本ではトランプ関税を機に、財務・税務部門とサプライチェーン部門が連携してタスクフォースを立ち上げたという企業が多い。原岡氏は、このムーブメントを一過性の危機対応で終わらせずに、税務変革の土台とすべきだと指摘する。

 「関税以外にも、アンチダンピング税、相殺関税、安全保障上の技術管理など、様々なリスクがあります。せっかく立ち上げた組織を解散してしまっては、次に新たな有事が起こった際、再び混乱することになるでしょう。それでは、欧米企業との差がさらに開いてしまいます」(原岡氏)

 進谷氏もこの変化は実感しているようで、「これまで経理財務部や税務部門が関税を管理する例はほとんど見てこなかったが、トランプ関税を機に経理財務部で関税領域へ進出する方が増えてきた」との見解を示した。

 関税は、法人税の移転価格に直結するだけでなく、VAT(付加価値税)とも密接に関わるもので、財務諸表への影響も大きい。また、東南アジアでは関税やVATに関わる税務調査や追徴課税もかなり多い。ようやく、こうしたリスクへの認識が広がり、関税の管理主体がビジネス部門から経理財務部門へと移ってきているようだ。

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AIは税務の高度化に必要だが、多くの企業は”Excelの呪縛”からも解放されていない

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この記事の著者

森 英信(モリ ヒデノブ)

就職情報誌やMac雑誌の編集業務、モバイルコンテンツ制作会社勤務を経て、2005年に編集プロダクション業務とWebシステム開発事業を展開する会社・アンジーを創業した。編集プロダクション業務では、日本語と英語でのテック関連事例や海外スタートアップのインタビュー、イベントレポートなどの企画・取材・執筆・...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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