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AIの力を引き出す「コンテキストレイヤー」を構築する──国産データテックQuollioが描く製品戦略

 2025年度上半期までで、顧客導入1.9倍、NECとのソリューション開発をはじめとする大手パートナーとの協業拡大、さらにITR市場調査では引き続きデータカタログ分野で国内シェア第1位の見通しとなるなど、順調な成長を続けている国産データインテリジェンス・ベンダーのQuollio Technologies(以下、Quollio)。年度末の2026年3月25日に、都内でメディアラウンドテーブルを開催した。

Quollioは“AI-Ready”に不可欠な「コンテキストレイヤー」を提供する

 昨今、AIが普及する中でコンテキスト(Context/文脈)の重要性に対する認識が広がっているが、Quollioから言わせれば、「従来から弊社が重要性を訴えてきた『ビジネスメタデータ』こそが、呼称は違えどコンテキストそのものである」とCEOの松元亮太氏は語る。

 多くの方がご存じのとおり、コンテキストがなければAIエージェントは期待通りの成果を出すことができない。売上データを探す、資料を探す、数字の背景状況を説明する、機密情報に気を付けるなどといった、簡単な仕事すらもコンテキストなしでは十分にこなせない。

 そこで社内に必要となるのが、コンテキストを保管する層(レイヤー)である「Context Layer(コンテキストレイヤー)」だ。データ基盤を土台に、AIエージェントの層を最大限に機能させるために必要な中間のレイヤーである。その構成要素は大きく以下の3つだ。

  1. Data & Analytics Context:データの意味・定義+Canonical Entities──データ分析に関係するコンテキスト。いわゆるセマンティックレイヤーや、ビジネスメタデータと呼ばれていたもの
  2. Business & Institutional Context:業務コンテキスト+経営コンテキスト+Tribal Knowledge──組織のビジネス・経営に関するナレッジとデータを紐づける
  3. Governance & Traceability Context:事前のガードレールと、事後調査時の説明責任に必要なコンテキスト

 従来、データサイエンティストがこうした問いと向き合う際に補助してくれたのがデータカタログだった。データサイエンティストはデータに詳しい専門家であるため、データを自分たちだけの言語のように扱い、そのデータを形容する情報としてテクニカルデータやビジネスメタデータが役立てられてきた。

 しかし、生成AIの普及とともに、データがデータサイエンティストだけのものではなくなっていった。松元氏は、「AIエージェントがエンタープライズのデータにアクセスするために、様々な情報が必要となった。そのため、(複雑なデータ専門人材の間で浸透していた)呼称がよりビジネス層にとって親近感を覚えやすい『コンテキストレイヤー』へと変化しているのではないか」と考察する。

 データカタログ分野で戦うQuollioとしては、このニーズの変化に対し最前線で応えていきたい。同社は、従来から提供している横断データカタログに加え、新たにこのコンテキストレイヤーをソリューションとして展開していくという。

 また、これまで順調にシェアを拡大してきた情報通信産業やSIer、小売・エンタメなどの顧客に加え、新たに金融や製造、ライフサイエンス、エネルギー、官公庁など、ミッションクリティカルで重厚長大な産業をマーケットとして開拓していくとのこと。既に導入事例も出てきているようだ。

「よりメタデータに紐づく基盤へと進化させる」 新機能と開発中の構想が明かされる

 今回のラウンドテーブルでは、新機能「Metadata Lifecycle Manager(MLCM)」の提供開始が発表された。

 MLCMは、Quollio Data Intelligence Cloud(QDIC)上で利用できる機能拡張オプションであり、データの取り込みからメタデータの編集・レビュー・最終公開に至るまで、すべてのプロセスを追跡・統制できるステージベースのパイプライン機能だという。メタデータのSystem of Record(記録のためのシステム)がプラットフォーム上に構築されたようなイメージだと松元氏は説明する。「よりメタデータ業務に紐づく基盤へとQDICを進化させていく」という狙いから実現したとのことだ。

 また、「セマンティック・アノテーション」なる部分の機能開発も進行中だと明かされた。これは簡単に言えば、AIがデータを使いやすいように、プラットフォーム上のデータをグラフ構造で考えていく仕組みだという。

 加えて、独自データやナレッジの組み込みにも引き続き注力していく構えだ。Quollio自身は独自のLLMを提供しているわけではないが、ユーザーがそれぞれ利用しているLLMをMCP経由で連携してAIループを形成し、その中にQuollioが独自に蓄積している知見やノウハウを組み込んでいくとした。たとえば、ある製造業の企業でメタデータ設計やメタデータ分類が上手くいっているとしたら、それをもとに業界のベストプラクティスをすべての顧客のAIループに組み込んでいくといったようなアプローチだ。

AIとメタデータの“接続”に悩む声が多数

 サービスのデリバリ戦略としては、「Quollio INTEGRAL(以下、INTEGRAL)」と先述のQDICの両輪で、大企業におけるデータマネジメント体制からデータ/AI利活用までを一気通貫で支援していくとのことだ。

 INTEGRALとは、同社が2026年2月にローンチしたサービスである。顧客の環境内で、データカタログをAIが正しく利用できるようにするために、Quollioが一緒に入ってメタデータ運用基盤を構築するサービスだ。最も多いのは、「AIエージェントに対してどうメタデータをインパクトさせていくか」、あるいは「どうAIエージェントからメタデータ整備をサポートしてもらえるようになるか」といった、AIとの接続の部分に関する相談だという。

最終的には「使うほど賢くなる」サイクルが出来上がる

 コンテキストは、すべてを事前に定義しておくためのものではないというのが松元氏の考えだ。「実際にAIを活用したり、AIと対話したりする中で不足しているコンテキストが明らかになっていき、その場で必要に応じて生成されたり、登録されたりするのが正しいアプローチだ」と同氏は語る。

 つまり、将来的には以下のような循環が出来上がっていく。

  1. AIエージェントに業務を投げる
  2. そのAIエージェントがコンテキストレイヤーを参照して文脈を取得する
  3. そこからAIエージェントが文脈付きで何かしらの回答を行う
  4. 上記のやり取りの中で、AIエージェントが理解できていなかった部分や足りなかった暗黙知がフロントに残る
  5. そこから暗黙知を再収集・再抽出する
  6. 収集・抽出したものをナレッジとして資産化し、蓄積する(→ 最初に戻る)

 最初の1周目を構築したら、2週目からは従業員たちがAIと会話しながらコンテキストレイヤーを参照していけるようになるというフローを回していくのが、理想の形だという。この環境を構築するのがQuollioの当面の使命だと述べた。

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この記事の著者

名須川 楓太(編集部)(ナスカワ フウタ)

サイバーセキュリティとAI(人工知能)関連を中心に、国内外の最新技術やルールメイキング動向を取材しているほか、DX推進や、企業財務・IRなどのコーポレート領域でも情報を発信。武蔵大学 経済学部 経済学科 卒業。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://enterprisezine.jp/news/detail/24073 2026/04/02 14:03

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