「一人称で語れる人材」と「変われる組織」
対談の締めくくりとして、AI時代に求める人材像について佐藤氏に問いが向けられた。返ってきた答えは、技術スキルや知識の話ではなく、姿勢と組織文化の話だった。
「変わっていける人材、変われる組織でありたい。外部環境も変わるし、人的資源の状況も変わる。それに合わせて変わっていかなければ、確実に衰退する」
もう一つのキーワードは「一人称」だった。「こうすべきだ」ではなく「私がこうしたい」と言える人間を育てたい、という。日置氏もここに強く反応し、リーダーシップ論よりも先にオーナーシップがあるべきだという持論を重ねた。
生産性向上で時間が生まれても削減できたはずの時間が「必須ではない業務」に吸い取られてしまう。高付加価値業務へのシフトを図ろうとしても、「そんな暇はありません、そんな人はいません」という答えが9割返ってくる現状を変えたい、というくだりはとりわけ多くの参加者に刺さったようだった。「効率化によりここで3ヵ月後に余裕が出てくるから、そのときにやりましょう」と言える組織の姿を描きながら、それはまだ道半ばだと佐藤氏は認めた。計画段階のものも含め長期戦になるとしながらも、「前向きに取り組んでいる」という言葉でセッションを締めくくった。
Excelのバケツリレーと非定型業務の職人芸によって成り立ってきた日本の経理財務部門。その構造を、AIとBPRの組み合わせでどう変えるのか。三井住友トラストという大型金融機関のCFOが現在進行形で格闘している実像は、業界や規模を問わず多くのCFO組織にとってリアルな参照点になるだろう。
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