セールスフォース・ジャパン(以下、Salesforce)は2026年5月20日、Slackbot新機能国内提供開始に関する記者会見を開催、4つの新機能を発表した。
同社 製品統括本部 プロダクトマネジメント&マーケティング本部 プロダクトマーケティング マネージャー 鈴木晶太氏
株式会社ナレッジワーク 執行役員VP 田口槙吾氏
今回発表されたのは、定型業務をテンプレート化する「AIスキル」、複数ソースを横断して自律調査を行う「ディープリサーチ」、Slack上から顧客データを直接更新できる「Salesforce Actions」、個人の業務スタイルを継続学習する「メモリ機能」の4機能であり、同日より国内での一般提供を開始。これらは、複雑化するビジネス環境において人とAIがひとつの基盤でつながる「エージェンティックエンタープライズ」の実現を提示するものだという。
SlackはSalesforceに買収されて以降、売上規模を2.5倍に拡大させており、2026年3月時点での月間メッセージ送信数は240億件に達する。会見では、あらゆるLLMを安全に活用するためのセキュリティ機能「トラストレイヤー」をベースに、文脈を管理するシステムオブコンテキスト、アプリケーション層のシステムオブワーク、そしてSlackが担うシステムオブエンゲージメントが統合されるビジョンが示された。
Salesforceで専務執行役員 製品統括本部 統括本部長を務める三戸篤氏は、「2021年のSlack買収は、単なるコミュニケーションツールの統合にとどまらず、Salesforceの歴史の中で大きなインパクトをもたらした」と強調する。これからの“エージェント革命”はまさにSlackの中で起こると語った。
続いて、製品統括本部の鈴木晶太氏は、実際のデモンストレーションを交えながら新機能について紹介。Slackが2,600以上のアプリケーションと連携するワークOSから、AIのスピードで共に働くエージェンティックワークOSへと進化したと語った。新機能の「ディープリサーチ」は、ユーザーが自然言語で指示を出すだけで、Slackbotが複数ステップの包括的な調査を自律実行し、4分ほどで詳細なリサーチレポートを生成する。
また、新機能「Salesforce Actions」については、顧客先情報の確認から商談ステータスの変更までをSlack上で完結させ、Slackbotが一度作成したドラフトを人間が確認・承認した上でSalesforceのCRM(顧客関係管理)データに反映させることで、入力ミスを抑えながら安全かつ効率的な更新を実現するという。
会見後半には、ユーザー企業事例としてナレッジワークが登壇し、SlackおよびAIエージェントプラットフォーム「Agentforce」を統合した実装事例を発表。人とAIエージェントが同一のインターフェイス上で並走し、サイロ化された組織全体の業務プロセスを効率化するためのアプローチが語られた。
同社は複雑化するエンタープライズセールスにおける営業生産性の向上という課題に対し、自社のAIプロダクトとSalesforceのデータを連携。執行役員VPである田口槙吾氏は、「AIを使う」から「AIで変える」への営業変革を掲げ、自社の営業担当者が本来注力すべき「顧客との対話」に専念できる環境を構築したと語った。
具体的には、営業担当者がSlackに顧客名を入力すると、AgentforceがSalesforce上の取引先情報や商談履歴を自動で要約して提示し、商談後は自社の「AI商談記録」が商談内容を自動要約してSalesforceへ自動連携する。さらに、複数商談を時系列で横断分析してネクストアクションを自律提案する仕組みにより、ディール停滞の早期検知や対応漏れの防止において効果を上げているという。
将来的には、Model Context Protocol(MCP)サーバーとの連携を本格化させ、社内の固有情報や営業活動ガイドブックを読み込ませることで、自動での事例レコメンドやAIを用いた「AI営業ロープレ」の実践など、営業担当者のイネーブルメントを進化させる方針が語られた。
Salesforceの今後の展望としては、2026年夏以降に向けたロードマップが示された。同社が開発を進める「Agent Orchestration」機能により、将来的には組織内で稼働する複数のAIエージェントをSlackbotが従業員向けのインターフェースとして横断的に統合・調整し、ユーザーが背後のシステムを意識することなく業務を完結できるようになる予定だ。
また、ZoomやGoogle Meetなどの外部会議にSlackbotが参加してリアルタイムで文字起こしや要約を行い、抽出されたアクションアイテムを自動でSalesforceに記録する「Intelligent Note Taking」や、音声でCustomer 360を直接操作できる「Voice Command」などの一般提供が控えているとのことだ。
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