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EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

最新イベントはこちら!

情シス塾 第2回

2026年7月10日(金)@翔泳社

IT Strategy Summit 2026

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EnterpriseZine(エンタープライズジン)

EnterpriseZine編集部が最旬ITトピックの深層に迫る。ここでしか読めない、エンタープライズITの最新トピックをお届けします。

『EnterpriseZine Press』

2026年冬号(EnterpriseZine Press 2026 Winter)特集「AI時代こそ『攻めの経理・攻めのCFO』に転じる」

NTT西日本の変革を支えたトップガンITアーキテクトの挑戦──専門性の深化から組織変革、そして次世代技術戦略へ

NTT西日本が「1人の成功」を組織としてスケールできた理由 トップガン人材が考える、人材育成術

データ活用人材をいかに育成するか──トップダウンとボトムアップを融合した育成戦略

 前回、数十億円規模のコスト削減とNTT東西共同利用化の実現を詳述した。しかし、1人の成果だけでは組織は変わらない。NTT西日本では、「トップガンITアーキテクト」を中心に、部内外での体系的な人材育成を実施。本稿では、研修カリキュラム開発からOJT、500名規模の社内コミュニティと4,000名規模の社外コミュニティ運営まで、多層的なアプローチで変革を組織全体にスケールさせた実績を共有する。

データ活用における最大の壁

 第2回では、専門性を武器に数十億円規模のコスト削減とNTT東西共同利用化を実現した経緯をお伝えしました。しかし、私はその過程で痛感したことがあります。どんなに大きな成果を出しても、1人に依存している限り、組織としての力にはならないということです。NTT東西共同利用化の推進中、私が技術的な判断や調整の中心にいないことでプロジェクトが止まる場面が何度もありました。これは、組織として極めて脆弱な状態です。

 次の挑戦は明確です。私の成功体験を組織全体の力にスケールさせること、その答えが「人材育成」です。

 どんなに優れた基盤を構築したとしても、それを使いこなす人材がいなければ、成果は出ません。データ活用推進における最大の壁は、実は技術ではなく「人材」です。多くの企業が高額なデータ活用基盤を導入したものの、十分に活用できていない理由は3つに集約されます。

 第一に「技術的なハードル」です。クラウドやSQL、Python、BIツールなど、これらの技術を使いこなすには、一定の学習が必要です。第二に「業務との両立の難しさ」です。日々の業務に追われることで、学習時間を確保できないことも少なくありません。第三に「孤独との戦い」です。周囲に相談できる人がいない、という孤独感が学習のモチベーション低下につながります。

 これらの壁を乗り越えるため、私たちはトップダウンとボトムアップを融合した人材育成戦略を展開しました。

部署内での人材育成

 まず、デジタル改革推進部における人材育成について説明します。

 私は、3大クラウド資格全冠という立場を活かし、社内クラウド人材育成のための育成プランと研修カリキュラムを開発しました。このカリキュラムは、基礎・実践・応用の3段階で構成しました。

 基礎段階では、クラウドの基本概念、主要サービスの概要、セキュリティの基礎を学びます。このときの目標は「クラウドとは何か」を理解し、基本的な用語でコミュニケーションをとれるようになることです。

 実践段階では、実際にAWSやAzureのアカウントを使って、仮想マシンの起動、データベースの構築、Webアプリケーションのデプロイなどをハンズオン形式で学びます。このときの目標は、「自分でクラウド環境を構築できる」ようになることです。

 応用段階では、実案件を題材にしたアーキテクチャ設計、コスト最適化、セキュリティ設計、運用設計を学びます。このときの目標は、「自分自身でクラウドアーキテクチャを設計・構築できる」ようになることです。

 もちろん、研修カリキュラムだけで真のスキルは身につきません。重要なことは、「実案件でのOJT(On-the-Job Training)」です。私は、新規クラウド利用システムのメンバーに対して、設計レビューやコードレビュー、トラブルシューティング支援を行いました。これらの支援を通じて、大規模なシステムリリースに貢献しました。

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 そして何より重要なことは、リーダー候補となるクラウド人材の育成に成功したことです。彼らは現在、自分自身でクラウド環境を構築できるレベルにまで達しており、新たな案件をリードしています。かつて、私一人に依存していた技術的判断が複数のリーダーに分散されることで、組織としての耐久力が格段に増しました。 

部署外での人材育成

 部署内での人材育成が軌道に乗ると、外部からも育成支援の要請を受けるようになりました。

 私は、社内外での登壇を通じて、NTT西日本のデータ活用やクラウド活用の取り組みを発信していました。その登壇を見た法人営業部からは、「自分たちもデータ活用やクラウド技術を学びたい」というリクエストをいただき、以下の研修・勉強会を開催しました。

  • 数理最適化提案勉強会:数理最適化とは何か、どのような業務に適用できるのかを解説
  • クラウド構築実践研修:AWSやAzureの基本的な構築方法をハンズオン形式で学ぶ研修
  • データ活用基盤勉強会:データレイク、データウェアハウス、BIツールの組み合せ方を解説

 これらの研修・勉強会を通じて、法人営業部のメンバーは顧客への提案力を強化し、数理最適化やクラウド関連の案件を複数受注することに成功しました。

 また、私の人材育成活動は社外にも広がりました。法政大学 デザイン工学部の兼任教員として、学生たちに数理最適化やオペレーションズ・リサーチを教えています。また、Udemy講師として、クラウド技術やデータ活用のオンライン講座を提供しています。

500名規模の社内コミュニティ、4,000名規模の社外コミュニティを運営

 人材育成において、もう一つ重要な要素が「コミュニティ」です。1人の成功体験を組織全体にスケールさせるためには、“知見が循環する”仕組みが不可欠です。データ活用に取り組む際の大きな壁の一つが「孤独との戦い」です。これを解決するために、私は社内外でコミュニティの事務局を運営しています。

 社外では、以下のコミュニティの事務局を運営しています。

  • クラウド技術者コミュニティ:AWS、Azure、Google Cloudの技術者が集まり、勉強会やハンズオンイベントを開催
  • データサイエンスコミュニティ:データ分析、機械学習、統計学に興味のある方が集まり、事例共有を実施
  • 数理最適化コミュニティ:数理最適化の研究者・実務者が集まり、最新研究や適用事例を共有
  • 産学連携コミュニティ:大学の研究者と企業の実務者をつなぎ、共同研究や人材交流を促進

 これら4つのコミュニティには、合計約4,000名が参加しています。また、社内では以下のコミュニティの事務局を運営しています。

  • クラウド活用推進コミュニティ:社内のクラウド利用者が集まり、ナレッジ共有や相談対応を実施
  • データ活用推進コミュニティ:社内のデータ分析担当者が集まり、分析手法や活用事例を共有
  • デジタル人材育成コミュニティ:デジタルスキルを学びたい社員が集まり、勉強会や資格取得支援を実施

 これら3つのコミュニティには、合計約500名が参加しています。

 社内コミュニティの運営で重要なことは、「業務時間内に活動できる環境を整えること」です。また、「成果を可視化すること」も重要です。コミュニティ活動を通じて学んだスキルが実業務でどう活かされ、どのような成果につながったのかを定期的に報告することで、経営層にも認知してもらいました。

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 社内500名のコミュニティと社外4,000名のコミュニティ、この2つのコミュニティの循環がNTT西日本の変革を1人の取り組みから、組織全体の動きへとスケールさせる原動力となっています。

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トップガンITアーキテクトが考える、「人材育成」の意味

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この記事の著者

高須賀 将秀(タカスカ マサヒデ)

博士(情報学)。2012年に修士号を取得した後、NTT西日本株式会社に就職。プライベートクラウド基盤やアプリケーション開発を経験した後、様々な技術(NW、サーバ、クラウド、プログラミング)を組合せることで、データ活用を推進するためのプラットフォームを運営。2019年から社会人ドクターとして研究活動を...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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