Claude Mythosの登場をどう思う?
ロビンス氏:Claude Mythos(ミュトス)についてはどう思う? AIをビジネスで活用する際には、こうした技術進化や潜在的なリスクの可能性についても知っておかなくてはいけないよね。スターバックスではどう?
ニコル氏:ちょうど昨日、リーダーシップチームの会議でその話をしたばかりなんだ。デジタルテクノロジーの責任者ともね。AIモデルは急速に進化しているし、私たちもそれを使ってより速く仕事をし、コードを書こうとしている。でも残念なことに、悪意あるアクターたちもまた、それを使っていかに上手に速く侵入できるかを探究している。
だから、「すべてのパートナーたちとどうやって正しい取り組みを行うか」がより重要になると思う。OpenAIやAnthropic、Googleといったパートナーのことだね。それによって、悪意あるアクターたちよりも一歩先を行けるようにするんだ。ただ、常にプレッシャーを伴う取り組みだし、針の穴に糸を通すような作業だと思うね。なぜなら、ノンストップのやめられない取り組みになるからだ。
同時に、急ぎ過ぎてかえって悪い事態を招くようなこともしたくない。だから、バランスを取る必要がある。スターバックスでは、アナンド(アナンド・バラダラジャン氏:Starbacks Corporation CTO (最高技術責任者))が私たちのガイドの役割を務めてくれているよ。
ロビンス氏:アメリカのCEOたちを見ていると、みんな自分のCISO(最高情報セキュリティ責任者)に対してこう言うんだ。「キミを信頼しているよ、私を失望させないでくれ」ってね。要は、セキュリティのことはそこまでよく分からないけど、キミは攻撃者よりも優秀であってくれよってことだね(笑)
ニコル氏:たしかに、誰しもそう思っているは節はあるね(笑)。でもCEOにとって何より大切なのは、「その瞬間に流されることなく、ただ思慮深くあること」だと思う。一番素早くやるべき大切なことを忘れない、必要とあらば必要なところにリソースを配分してあげる。でも最終的には、みんなの専門知識を頼りにしている。これは間違いないよ。
巨大な組織を一つに束ねる「視覚化」の重要性
ロビンス氏:スターバックスやCiscoのような大規模組織では、大きな課題として「自社が進もうとしている方向・ペースを、組織の全員が確実に理解できているか」というものがある。従来の組織的なコミュニケーションに依存していると、すぐに破綻してしまうだろう。あなたはどうやってこの課題と向き合っているのかな。
ニコル氏:すべてのコーヒーハウス(店舗)とコーポレートオフィスを合わせると、アメリカ国内には約25万人のパートナーがいる。全世界では90ヵ国以上に50万人近くいる。そんな大規模な組織では、自分たちの戦略を「ビジュアル化(視覚化)できる言葉」で表現しなければいけないと気付いた。
そこで私は、「スターバックスに戻る(Getting back to Starbucks)」という表現を思いついた。これなら、私たちが何を目指しているのかが即座にイメージできる。アメリカでも、フランスでも、カンボジアでも、みんな「スターバックスに戻る」という言葉が何を意味しているのかすぐに理解してくれたよ。素晴らしい場所、素晴らしいつながり、素晴らしい技術のことだってね。もちろん、それを体現するためには多くの仕事が必要だけど、パートナーたちをミッションと強固に結びつけておくことができれば、強力な推進力を得られる。
正直に言うと、以前のスターバックスは「顧客やパートナーに何を届けるのか」という本質よりも、個別のプロジェクトに気を取られ過ぎていたかもしれない。でも「スターバックスに戻る」というシンプルなフレーズによって、私たちが何を追求する組織なのかを視覚化して伝えることができるし、事業戦略であれテクノロジー戦略であれ、目的や方向を見失わずに済む。
巨大な組織を束ね、全員が一つにまとまって正しい方向に進むために、「視覚化」は本当に大切だと思う。同じ組織でも、国・地域や職種によって日々の仕事内容はまったく異なるからね。メニューの設計や世界中にある店舗のロケーション、店舗内の装飾にだって、このアプローチを採ってきたよ。
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名須川 楓太(編集部)(ナスカワ フウタ)
サイバーセキュリティとAI(人工知能)関連を中心に、国内外の最新技術やルールメイキング動向を取材しているほか、DX推進や、企業財務・IRなどのコーポレート領域でも情報を発信。武蔵大学 経済学部 経済学科 卒業。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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