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5周年を迎えたデジタルバンク「みんなの銀行」、“BaaSの輪”を広げ巨大な「APIエコノミー」実現目指す

 2021年5月28日に日本初のデジタルバンクとしてサービスを開始し、今年で5周年を迎えたみんなの銀行が、2026年6月12日に事業戦略説明会を開催した。

 頭取の永吉健一氏は、今日までの歩みを振り返った。サービス開始1年目(2021-2022年)では、そのUI/UXが高く評価され、世界三大デザイン賞の一つと言われる「Red Dot Design Award」(ドイツ)と「iF Design Award」(米国)を立て続けに受賞。これらの受賞が、「自分たちのUXの世界観が認められた」という自信につながったと同氏は話す。また同年、同行のピクシブ支店、テンプスタッフ支店が開設され、APIを介して金融機能を事業者に提供するBaaS(Banking as a Service)事業もスタートした。

株式会社みんなの銀行 取締役頭取 永吉健一氏
株式会社みんなの銀行 取締役頭取 永吉健一氏

 2年目(2022-2023年)からは機能の充実が図られていった。ローンや奨学金送金サービスの提供開始、国庫金振込の取扱い開始など。そしてBaaS事業では、マネーフォワードとの参照系API連携が開始された。

 3年目(2023-2024年)には、パートナー企業のサービスにアプリ経由で簡単にアクセスできる連携機能「Circle(サークル)」が提供開始、BaaS事業では更新系APIなど金の移動がともなうAPI機能を作り込み、さらなるパートナーとの連携が一気に拡大した。「BaaS事業が本格的にスタートした年だった」と永吉氏は振り返る。4年目(2024-2025年)にはパートナー数が20社を突破、口座数は100万口座を超え、最終的には130万口座に達した。また、金融商品の仲介サービスも開始した。

 そして5年目(2025-2026年)を終えたばかりの同行だが、2026年5月末時点で、パートナーは36社、口座数は約170万を数える。また、同年4月には、法人口座も提供開始した。さらに象徴的な取り組みとしては、三菱UFJ銀行が新設するデジタルバンクの基幹システムに、みんなの銀行のフルクラウド型銀行システムが採用されたこと。加えて、メルペイとのBaaS業務提携により、メルカリ上でみんなの銀行口座の機能が利用可能となるエンベデッド(組み込み)型サービス「メルカリバンク」を提供開始したことが紹介された。

 そんな同行が次の5年間で目指すのは、創業当初のコンセプトであるBaaSを起点に、つながりの輪を広げることだと永吉氏。そのための戦略として、まずは一つのアカウントが複数のBaaSパートナーにつながる世界の実現を掲げる。引き続き、みんなの銀行の口座アプリ一つで様々なサービスとシームレスにつながるユーザー体験を作り上げていくとのことだ。

 次に、事業性サービスの展開加速。ついに法人口座が提供開始されたことで、B2B2CモデルだけでなくB2B2Bモデルにも進出し、事業性BaaSを本格稼働させていくという。

 さらには、同行のルーツであるふくおかフィナンシャルグループ(FFG)との連携も掲げられた。FFGでもDXやシステムのモダナイゼーションが着々と進みつつあり、その土台とみんなの銀行がゼロベースで研究開発してきた技術・サービスを融合させていくとした。

 BaaSの輪がさらに拡大していくことで、あらゆるサービスに金融機能が溶け込む世界観も共有された。パートナーが増えていくとどうなるか。最初はみんなの銀行とパートナーで1対1だったつながりが、ユーザーが利用する複数のサービスがいつの間にか同行と提携していき(複数APIの利用)、次第に複合利用の構図が出来上がっていく。すると、銀行側としては商品のクロスセル展開や、取引量の増加につながる。一方、パートナー側としては、金融と一体化したサービスを開発・提供できる。好循環のサイクルが醸成されるというわけだ。その先には、巨大なネットワーク「APIエコノミー」の実現を見据えている。

 直近の新たな動きとしては、まず2026年6月9日に、ふくおかフィナンシャルグループ傘下のiBankマーケティングから、BaaSアプリの本格開発に着手したとの発表があった。続いて6月12日には、みんなの銀行で複数支店の口座が利用可能になった。1人最大5支店まで開設できる。BaaSのパートナーが増えてきたことを受けて、都度乗り換えをせずにユーザーが使っているサービスの支店を開設できるようになった。口座間での残高の移動も、ドラッグ&ドロップで簡単に操作完結できる。

 ゆくゆくは、Web2.0とWeb3.0の世界をシームレスに行き来するようなサービスを目指しているという。デジタル預金とステーブルコインを交換できるような世界観の実現も検討していくと述べた。

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この記事の著者

名須川 楓太(編集部)(ナスカワ フウタ)

サイバーセキュリティとAI(人工知能)関連を中心に、国内外の最新技術やルールメイキング動向を取材しているほか、DX推進や、企業財務・IRなどのコーポレート領域でも情報を発信。武蔵大学 経済学部 経済学科 卒業。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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