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「我々の事業とは何か?」

#3

前回、事業の目的である顧客の創造と大前提となるいくつか視点について述べました。事業の成果とは企業の外である社会や市場にあること、継続的な事業存続などが大前提になることです。今回は自社の事業を構築していくための問いかけについてのべていきます。

我々の事業とは何か?~What is our business?

出典:「マネジメント - 基本と原則 [エッセンシャル版]」  

英語版 「Management, Task, Responsibilities, Practices」

事業の目的である顧客を創り出すためには、そもそも誰を顧客とすべきか、自社はどのような事業に集中すべきか、明快な指針が必要となります。顧客は大手法人顧客なのか中小法人顧客か、はたま個人顧客なのか、それらの顧客はどこにいて、何に価値を感じているのか、などです。ドラッカーは、事業のあるべき像を構想するために、以下のような端的な問いかけを行いました。

1.我々の事業とは何か?(What is our business?)
2.我々の顧客とは誰か?(Who is our customer?)
3.我々の顧客にとっての価値とは何か?(What is value to our customer?)

我々の事業とは何か、何であるべきか、単純な問いかけですが答えるのは容易ではありません。環境が変われば事業も変わる必要があります。ドラッカーは以下のようにのべます。

「自らの事業は何かとの問いに答えるほど、簡単で分かりきったことはないかに思われる。だが、この問いに答えることは、つねに難しく、思考と検討なくしてできることではない」(『現代の経営』)

例えば米国の鉄道会社は、自社の事業を「運輸事業」ではなく「鉄道事業」であると定義したことにより衰退の一路をたどりました。1960年代、米国内の旅客や貨物輸送の需要全体は伸びていました。にもかかわらず米国鉄道会社が廃れていった理由は、鉄道事業そのものを目的としたところに衰退の原因があります。輸送に関わる需要を捉えるためには、事業そのものを運輸事業として定義し、伸張する新たな旅客や輸送のニーズをつかまなければならなかったのです。

あるべき事業とは何か、再定義することで成長したのがIBMです。かつてIBMは汎用機などのハードウェア販売事業が中心でしたが、1997年にe-Businessコンセプトを発表しました。今までは「ハードウェア販売事業」であったが、今後はソリューションを提供する「サービス事業」であるべき、と再定義しました。背景としてITシステムが複雑化したため、単なるハードウェア販売だけではなく、ハードウェア導入に伴うIT関連のコンサルティング需要が生まれたことがあります。事業の再定義とともに自社のソリューション能力を向上させるため、社内教育プログラムも立ち上げました。

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我々の顧客とは誰か?

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この記事の著者

岩下仁()

バリューアソシエイツインク Value Associates Inc代表。www.valueassociatesinc.com  戦略と人のグローバル化を支援する経営コンサルティングファーム。代表は、スペインIE Business School MBA取得、トリリンガルなビジネスコンサルタント。過去に大手コンサル...

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