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声に出して読みたいピーター・ドラッカー

"企業は社会的な存在である"

#1

ピーター・ドラッカー―マネジメントを生み出した男(The man invented management)。マネジメントの指導者中の指導者(The guru of gurus)。マネジメントの父。(the father of modern management)。当連載では、ドラッカーの名句を紐解き、その解釈と背景、そして実践事例を述べてその意味合いを読み解いていきます。

ドラッカー以前には存在しなかった「マネジメント」という概念

 "The corporation as a social institution." 
―企業は社会的な存在である―

出典:"Concept of the corporation"(1946年)
『会社という概念』(1966年、東洋経済新報社)
   『企業とは何か』(2005年、ダイヤモンド社)
 

 初回である今回は、マネジメントと企業について述べてみます。

 経営学者であり、経営コンサルタントでもあるドラッカーは、数々の名句を紡ぎだした優れた書き手でもありました。まさにマネジメントの発展とは、彼の洞察と提言により発展してきたといっても過言ではありません。

 1950年代、ドラッカーの前に、産業界においてマネジメントという概念は存在しませんでした。かつて米国の企業とは、今でも一部そうですが、株主への利益の提供を第一の目的としていました。企業とは、資本家の所有物でもあり、経済的な活動の一つでした。これに対して、ドラッカーは、経済的役割だけの企業の限界をいち早く見抜き、企業を社会全体から位置づけ、マネジメントの必要性を訴えてきた第一人者なのです。

マネジメントとは何か

 そもそもマネジメントとは、幅広い意味を持つ用語です。何をマネジメントするか、その対象やマネジメントを行う主体により、そして使われるコンテキストや前後関係により意味合いが大きく異なります。たとえばマネジメントが人を指す場合として、経営陣を意味することもあれば、マネージャーを意味することもあります。機能を指す場合、マネージャーによるマネジメントか、企業トップによるマネジメントか、自分自身のマネジメントか、それぞれ主体が異なるため、マネジメントの中身が異なります。はたまたITシステムのマネジメントや財務マネジメント、人材マネジメントからマーケティングのマネジメントなど、マネジメントの対象が異なるため、それぞれ別のマネジメントプロセスが存在します。

ドラッカーは、基本的なマネジメントの仕事を、5つにまとめました。

1.目標を設定する。
2.(資源を)組織する。
3.動機づけとコミュニケーションを図る。
4.評価測定する。
5.(自分自身も含めた)人材を開発する。

 つまり組織や自身を運営するプロセス、つまり目標を掲げ、計画し、資源を組織化し、評価し開発するPDCAプロセスの全体を回すことがマネジメントの基本的な概念にあたります。
 ちなみにマネジメントの日本語訳では、経営や管理と訳されています。経営といえば、企業の経営陣から見た企業のマネジメントにあたります。ただしいわゆるマネージャー自身のマネジメントは意味しません。また管理という用語は、必ずしも適切ではありません。日本語でいう管理とは、英語でいうマネジメントの一つの仕事でしかありません。上記のドラッカーの定義では、おそらく“4.評価測定する。“しか述べていません。
 このマネジメントという用語自体、英語特有の言い回しであり、他の言語に訳す場合、同様の混乱があるようです。マネジメントについて述べるときには、どの対象でどの主体なのか、確認が必要な重要用語でもあります。

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社会から見た企業の姿

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この記事の著者

岩下仁()

バリューアソシエイツインク Value Associates Inc代表。www.valueassociatesinc.com  戦略と人のグローバル化を支援する経営コンサルティングファーム。代表は、スペインIE Business School MBA取得、トリリンガルなビジネスコンサルタント。過去に大手コンサル...

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