"The purpose of the business is to create customers"
―事業の目的とは顧客の創造である―
出典:Management: Tasks, Responsibilities, Practices
『新訳 現代の経営』
『新訳 創造する経営者』
前回、様々な側面からの見方が存在すること、中でもドラッカーは、社会的な側面から企業を眺めたことを述べました。社会の中にある企業は、全ての貢献が企業の外、つまり社会であり外部環境に存在することを示しています。
企業において、売上や利益とは明日の財やサービスを提供するための必要条件でしかありません。それは継続的に事業の目的を満たすため、つまり継続的に顧客が喜んで対価を支払う財やサービスを提供するための必要な資源です。
企業の存在価値とは、顧客への価値を届けることであり、財やサービスを通して実現されます。これらの提供する財やサービスとは、買い手、すなわち顧客が喜んで支払うものでなければ価値を生み出せません。ドラッカーは、「組織は、自らのために存在するものではない。買わないことを選択できる第三者が、喜んで自らの購買力と交換してくれるものを供給することである」『断絶の時代』と述べています。
ドラッカーは「事業の目的とは顧客創造である」(The purpose of business is to create customer)と定義しました。財務的な指標を目的とするのではなく、長期的な視点でかつ社会から企業を眺めた名言でもあります。今でこそ顧客サービスや顧客は神様(The Customer is God/King)、顧客第一主義(Customer oriented / put customer first)、顧客こそボス(The Customer is boss)などという顧客に重きを置いた言葉が氾濫していますが、この顧客志向の考え方は比較的近年に生まれた考え方です。特にドラッカーの時代では、極めて新しい考え方といえるでしょう。