パナソニック コネクト/NTTドコモに見る、Snowflakeを駆使した“AI現場実装”の最先端
「Snowflake Summit 26」現地インタビューで見えた、両社に共通する成功のカギ
IT部門が予算をもたない“受益者負担ルール”でコスト最適化
NTTドコモのように巨大なデータ基盤を運用する上で、ガバナンスとアジリティ(俊敏性)のバランスも欠かせない重要な課題だ。同社はこの課題に対して、データの機密性に応じてテナントを分離し、個人を特定する機密データと匿名化されたマーケティングデータを明確に分けて管理している。たとえば、マーケティング領域では開発スピードを優先し、一つの案件を約1ヵ月、最短では3日で完了させるなど、高いアジリティを実現している。
さらに、ユーザーのコスト意識を醸成する取り組みも興味深い。同社では、プロジェクト別に計算リソースを提供し、ユーザー側がコストを把握できる仕組みを構築している。データ分析基盤の利用において、各事業部門が自らの予算でコストを負担する“受益者負担ルール”を徹底しているのだ。
日影氏はこの取り組みの成果について「各部門が投資対効果(ROI)を意識するようになり、データ分析を費用として捉えるようになった」と語る。杉野氏も「IT部門の予算がネックとなってビジネス部門の分析が停滞するような事態は未然に防げている」と述べた。
さらに同社は、データ活用の裾野を広げるための人材育成にも注力している。具体的には「実データの使用」にこだわり、事業課題を持ち込んで半年間かけて分析する実践的なプログラムを通じて、現場のコア要員を育成してきたという。
一方で、AIの利用拡大にともなって意図せず大量のクエリが実行されコストが膨らむ懸念も認識している。日影氏はこれに対し、「オブザーバビリティを高める機能などを通じて、コストの可視化と監視を強化していく」との方針を示した。
今後の展望として、NTTドコモはAI活用による業務効率化で生み出された時間を「人間ならではの新しい価値創造」に割り当てることを目指す。日影氏は「当社の経営層は、AIの活用によって創出された時間を、新しい価値を生み出す時間に振り向けてほしいという思いがある。情報システム部としてそのための環境づくりを進めている」と語る。
杉野氏が「情報システム部が足かせにならないよう、最新機能を迅速に公開していく」と語るように、誰もがAIを利用できる環境を積極的に提供し、データ活用の目的や本質的な価値を組織に浸透させることが、次世代のIT部門に求められる役割となるだろう。

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