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冨永裕子の「エンタープライズIT」アナリシス

AIで大きく変貌するWorkday、「組織図にAIエージェントが加わる時代」の人材マネジメント論

AIエージェントと人間は同じ従業員、「AIチームメイト」と呼ぶ理由

 企業がPoCの壁を乗り越え、組織内で機能するAIエージェントが増えていく未来に向けて、Workdayは独自のAIエージェントのマネジメント方針を掲げている。冒頭、AIエージェントを「AIチームメイト」と表現していた通り、同社はAIエージェントをツールやIT資産のようなマシンアイデンティティではなく、ヒューマンワーカーと同等の従業員として管理する思想を重んじている。

 人間であれAIエージェントであれ、配属後ただちに即戦力として活躍できるわけではない。現場に投入できるレベルに達するまでには、一定期間のオンボーディングが必要だ。さらに、AIエージェントがより高いパフォーマンスを発揮できるよう、必要に応じてスキルを強化していく可能性もある。こうなると、AIエージェントも人間とほぼ変わらない。

 投資対効果の測定や人事評価の際にも、人間とAIエージェントを完全に切り離して評価するのではなく、それぞれを区別した上で同じ従業員として個別評価を行うというのが、Workdayの考え方だ。擬人化して扱うことで、チーム全体が達成した成果をもとに、AIエージェントのROIも定量的に評価できるようになる。

 たとえば、採用チームのメンバーにAIエージェントが加わったとする。すると、これまで平均30日かかっていたポジション補充が21日に短縮された。この場合、採用チームのパフォーマンスは9日分向上したと判断できる。また、チーム全体のパフォーマンスをモニタリングすることで、継続的なチームパフォーマンス向上への示唆も得られる。

【図3】WorkdayのエージェンティックAIの捉え方(提供:ワークデイ株式会社)
【図3】WorkdayのエージェンティックAIの捉え方(提供:ワークデイ株式会社)

 AIエージェントに「何を、どこまでやらせるか」は、企業のAI戦略に従って決まるところが大きい。そこでWorkdayは、細かい動作の制御は権限設定で行えるようになっている。ここでも、人間のワーカーと同じガバナンス基盤が利用されている。

 セキュリティの観点から見れば、データ単位の権限設定のほうが合理的に思えるかもしれない。しかし、その場合チームのマネージャーが変わるごとに設定変更が必要となる。人事や経理業務のプロセスを考えれば、ポジションや役割に応じて権限を割り当てるほうが合理的だ。組織体制の変更にも柔軟性が担保され、それこそ将来、AIだけで組成されたチームを社内に設置した場合でも、途切れなくビジネスを継続させられる。

 実際にそうするかはさておき、WorkdayはAIエージェントの数で他社と競う姿勢を見せていない。それは、機能ではなく“役割単位”でAIエージェントを提供しているからだ。「Workdayでは、人間のスキルを拡張することに重きを置いている。AIチームメイトと位置づけているのはそのためだ」と小今井氏は説明する。

次のページ
Workdayのプラットフォーム戦略は実を結ぶか

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冨永 裕子(トミナガ ユウコ)

 IT調査会社(ITR、IDC Japan)で、エンタープライズIT分野におけるソフトウエアの調査プロジェクトを担当する。その傍らITコンサルタントとして、ユーザー企業を対象としたITマネジメント領域を中心としたコンサルティングプロジェクトを経験。現在はフリーランスのITアナリスト兼ITコンサルタン...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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