2026年2月に、創業者の一人であるアニール・ブースリ氏がCEOに復帰したWorkday。新体制下で、前CEO カール・エッシェンバック氏が種を蒔いた「プラットフォーム強化」のギアを上げ、AIファーストで事業構造の変革に取り組んでいる。同社のAI戦略はどう変わったのか。また、AIエージェントに対し同社が持つ独特な見方についても話を聞いた。
Sana統合で“SoA”のためのプラットフォーム強化が進行中
現在、Workdayが最も注力している取り組みがプラットフォーム変革である。ここでの「プラットフォーム」とは、アプリケーションの稼働基盤(Platform for Apps)ではなく、業務を支える様々なAIエージェントが「自律的に稼働する基盤(Platform for Agents)」のことを指す。このPlatform for Agentsを、Workdayでは“System of Action(SoA)”のためのプラットフォームと捉え、整備を進めている。
エージェンティックAI時代に向けてのWorkdayの強みとは何か。日本法人でCTOを務める小今井裕氏は、「リレーショナルデータベースではなく、組織、ポジション、職務、従業員それぞれを『独立したオブジェクト』として扱う独自のデータモデルを採用していること」だと述べる。一般的なデータだけを参照して動くAIエージェントは、言うなれば自由気ままに動いているに過ぎない。Workdayの主なユーザーである人事や財務の仕事では、これまでに培ってきた「信頼できるガバナンス」の効いたデータ環境でこそ、AIエージェントの自律性が真価を発揮できる。
Workdayが考える人事や財務のためのAIプラットフォームは、以下4つのテクノロジースタックで構成されている。
一番下の土台には、ビジネスを支える基盤としてのWorkdayアプリケーションレイヤーが存在し、そこには大きく人事・財務・プランニングの3種類のアプリケーションがある。エージェントの行動を制御するガードレールも、このレイヤーに組み込まれている。その上の層には、現在強化中のWorkdayプラットフォームがある。AIエージェントのライフサイクルマネジメントから外部AIエージェントとの連携に至るまでの機能は、このレイヤーが提供する。また、各AIエージェントが外部のデータプラットフォームにゼロコピーでアクセスできるようにする「Workday Data Cloud」も、プラットフォームの一部を担う。そして、その上には同社が「AIチームメイト」と呼ぶAIエージェントのレイヤーがあり、最上位には昨年買収したSanaが位置する。
前任のカール・エッシェンバックCEOの体制下で、Workdayは統合AIプラットフォームの構築に至る複数の重要な買収を行ってきた。2025年8月にはFlowise、同年9月には前述のSana、そして同年11月にはPipedreamを買収した。その中でもSanaは、現在のWorkdayが掲げるAI戦略の中核に位置づけられている。
Sanaは、ストックホルムに本社を置くAIネイティブのスタートアップで、社内ベンチャーキャピタルWorkday Venturesの投資先でもあった。統合前からSanaは数百社の顧客を抱え、Workdayアプリケーションとの親和性が高いAIを提供していたことから、製品統合を前提とした買収に至った。Sana時代にCEOを務めていたジョエル・ヘラーマーク氏は2026年5月にWorkdayのCAIO(最高AI責任者)に就任し、「Superintelligence for Work」のスローガンを掲げて製品統合を主導している。
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冨永 裕子(トミナガ ユウコ)
IT調査会社(ITR、IDC Japan)で、エンタープライズIT分野におけるソフトウエアの調査プロジェクトを担当する。その傍らITコンサルタントとして、ユーザー企業を対象としたITマネジメント領域を中心としたコンサルティングプロジェクトを経験。現在はフリーランスのITアナリスト兼ITコンサルタン...
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