Workdayのプラットフォーム戦略は実を結ぶか
現在、Workdayが提供する「すぐに利用できるAIエージェント」は20超。まずは、これをそのまま利用してもよいが、社内で次第に定着が進めば、独自に構築したカスタムエージェントを使いたいというニーズや、外部のAIエージェントとWorkdayのAIエージェント、カスタムAIエージェントをお互いに連携させて使いたいというニーズが増えてくる。
そうしたニーズに応えるのが、前述の買収に由来するノーコード/ローコードのエージェントビルダー「Flowise」と、API連携のための統合プラットフォーム「Pipedream」である。また、2026年6月に米国ラスベガスで開催されたWorkday DevCon 2026では、Claude Codeなどの主要コーディングエージェントでWorkdayのエージェントを構築できるようになるという発表もあった。Sanaの統合とあわせて、外部に対してオープンな方向性を打ち出すようになったことは、Workdayにとって大きな戦略的転換点と言える。
さらに、組織マネジメントの観点では、各チームにどんなスキルを持つ人材がどれだけ必要か、他チームの役割と重複や空白がないか、新しい役割を再定義する必要はないか、組織の戦略的な設計と運営のためのジョブポートフォリオマネジメントが重要となる。日本企業にとって、ジョブ型人事制度の基盤となるジョブの定義、役割、責任、スキルをこれから整理しなくてはならないハンディは大きい。小今井氏は、この問題に対する解決策として、今後提供予定の「ジョブアーキテクチャエージェント」を紹介した。このエージェントは、組織全体の最適化に役立つ材料を提供する役割を持つ。加えて、組織のあるべき姿を定義し、AIと人間の役割分担の整理に役立つ「プランニングエージェント」なるエージェントも期待できるとした。
料金体系にも特徴がある。通常のWorkdayアプリケーションでは毎月あたり定額のシートライセンスを基本としているが、AIエージェントについては「Flex Credits」と呼ばれるアクション単位の従量課金モデルを採用した。“Flex”とあるのは、AIエージェントの利用に加えて、Workday Data Cloudの利用分へクレジットを流用することを想定しているためだ。
なお、シートライセンスとFlex Creditsを組み合わせるハイブリッドモデルとなるわけだが、これはビジネスモデルの見直しを意図したものではない。また、一部のAIネイティブスタートアップで採用されているような、アウトカム(成果)ベースの料金モデルにする計画もないとのことだ。「何をもって成果とするか」の測定が難しいからだという。たとえば、「採用(リクルーター)エージェント」を利用したチームがポジション補充に成功した場合、「その成功をもって成果とみなすのが妥当か、それとも人間のチームメンバーによる貢献も考慮すべきか」という疑問が出てくる。
足元に目を転じると、AIエージェントとの協働イメージが描けるようになったばかり。AIエージェントが果たしてチームに定着するか。プラットフォームの強化戦略が正しかったのか、評価されるのはこれからだ。
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冨永 裕子(トミナガ ユウコ)
IT調査会社(ITR、IDC Japan)で、エンタープライズIT分野におけるソフトウエアの調査プロジェクトを担当する。その傍らITコンサルタントとして、ユーザー企業を対象としたITマネジメント領域を中心としたコンサルティングプロジェクトを経験。現在はフリーランスのITアナリスト兼ITコンサルタン...
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