LINEヤフーが数万規模のAI活用を支える基盤構築、柔軟性と堅牢性を兼ね備えた設計思想と構成要件とは
「エージェント開発の民主化」「高精度なパーソナライズ」「堅牢なガバナンス」という3軸で推進
LINEヤフーは2026年6月29日、カンファレンス「Tech-Verse 2026」を開催。基調講演には同社でCTOを務める朴イビン氏、AI CBUとAI戦略企画ディビジョンリードを兼任する並木良太氏が登壇し、同社のビジネスビジョンとAXの進捗を語った。
すべての機能を「エージェント化」する
2023年の大規模な企業合併からまもなく3年を迎えるLINEヤフーは、「LINE」や「Yahoo! JAPAN」のアセットを高度に融合させ、本格的なAI時代に適合した新しいビジネスビジョンの具体化と、社内における真のAIトランスフォーメーション(AX)を推進している。カンファレンス「Tech-Verse 2026」では、ユーザーとビジネスの双方におけるAI体験の次世代化を目指すプロダクト戦略「Agent i」の構想に加え、それを支える「AIエージェントプラットフォーム」の設計思想、そして組織全体の生産性を抜本的に変革する社内AXの進捗について明かされた。
CTOの朴イビン氏は、同社が実施した最新の市場調査結果を示し、現在の生成AIを取り巻く社会的課題を提起する。同氏によると、日本国内における日常生活での生成AIの定期的な利用率は16%にとどまっており、「生成AI」という言葉の高い認知度や期待値に反して、実際の生活習慣に定着している割合は低めだ。LINEヤフーはこのギャップを埋めるべく、すでに国内で1億人以上のユーザー基盤をもつLINEのインターフェースや、Yahoo! JAPANが長年培ってきた検索、コマース、コンテンツ、決済といったサービス資産をオーケストレーションし、すべての機能を「エージェント化」していく戦略を語った。
この構想の具体的なマイルストーンとして、同社は2026年4月より一般ユーザー向けのパーソナルエージェントサービス「Agent i」と、100万以上のビジネスアカウントを対象とする企業向けの「Agent i for Business」を展開している。Agent iは、複数の専門エージェントを裏側で自律的に連携させ、ユーザーの文脈や潜在的な意図を汲みとり、先回りして最適な提案やタスクの自動実行を行うもの。Agent i for Businessにおいては、店舗や企業が顧客対応を自動化できる「LINE公式アカウント AIモード」や、高度なデータ分析と運営支援を実現する「Agent i Biz」を用意している。
続いて登壇した同社 CTOドメイン AI CBUおよびAI戦略企画ディビジョンリードの並木良太氏は、これら数万規模に上ることが想定されるAIエージェント群を、技術的かつ構造的に支える共通基盤「AIエージェントプラットフォーム」における設計思想とその全容を解説した。「単に既存のサードパーティ製AIフレームワークやLLMのAPIをラップするだけでは、LINEヤフーが求めるエンタープライズレベルの厳しい要求(大規模スケール、超低遅延、厳格なデータ保護など)には応えられない」と同氏。そのため、自社のプラットフォームを「エージェント開発の民主化」「高精度なパーソナライズ」「堅牢なガバナンス」という3つの軸に基づいて独自設計していると語った。
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