LINEヤフーが数万規模のAI活用を支える基盤構築、柔軟性と堅牢性を兼ね備えた設計思想と構成要件とは
「エージェント開発の民主化」「高精度なパーソナライズ」「堅牢なガバナンス」という3軸で推進
社内でデプロイされるコードの20%が生成AI製、AXは部分最適の枠を脱した
基調講演の終盤、再び登壇した朴氏はこれらのAI技術を社内の開発組織およびビジネスプロセス全般に適用するAXの推進状況と、今後のグローバルな展望について総括。LINEヤフーにおけるAXの取り組みは、単に一部の先進的なエンジニアが個人レベルでAIツールを利用して生産性を向上させるという部分最適のフェーズをすでに脱しており、組織全体のシナジーを生み出す「全体最適化」への移行が段階的かつ戦略的に進められているという。同社は「Strategy(戦略策定)」「Build(基盤構築)」「Enable(利用環境整備)」「Execute(業務実行)」「Measure(効果測定)」という5つの変革レイヤーを定義してAXを実行しており、現在は広範な業務実装とデータによる効果検証のフェーズに位置しているとのことだ。
システム環境のインフラ面においては、旧LINEが運用していた「LINE Cloud」と、旧Yahoo! JAPANが運用していた「Yahoo! JAPAN Cloud」という2つの巨大なプライベートインフラの完全な統合を推進し、次世代のエージェント対応クラウドインターフェースを備えた統合クラウド基盤「Flava」へと昇華させている。開発プロセスへのAI導入による具体的な測定結果としては、社内で生成されたAI対応の設計書が従来の約46倍に増加し、AIが導入されたコードリポジトリの割合は15%向上した。結果として、エンジニア1人あたりのコード出力効率は1.5倍に高まり、AIが自律的に寄与・生成したコード行数は従来の77.5倍へと拡大、現在社内でデプロイされる全ソースコードの20%がAIによる生成コードで占められている。
さらに、AXの波はシステム開発の現場にとどまらず、セキュリティ、プライバシー保護、法務審査、コンプライアンス管理、リスクマネジメントといった、企業のガバナンスを司る高度なバックオフィス部門における業務プロセスの最適化にまで浸透しているという。バックオフィス業務の約30%を対象として実施された初期の実証検証において、各種申請や審査にかかる業務全体のリードタイムを約13%短縮できるという定量的効果が確認された。
LINEヤフーは今後、定型業務の部分的な自動化という現状の果実から、エンドツーエンドでの組織横断的な統合プロセス最適化へと適用範囲を拡大し、組織がAIと融和したAIネイティブな企業の構築を目指すという。そして、インフラストラクチャからアプリケーションレイヤーにいたるすべての垂直統合的なアプローチを通じて、安全かつグローバルなガバナンス体制を維持しながら、世界中のユーザーとビジネスに新しい価値を提供する方針だ。
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