日本電気(NEC)とぎょうせいは、自治体選挙事務に関わる市民応対業務を効率化する生成AIを共同開発し、横浜市選挙管理委員会事務局と仙台市選挙管理委員会事務局の協力のもと両市での実証実験を実施した。
実証の結果、利用者の9割以上から回答精度について「正確」、7割以上から「業務効率化に寄与する」という評価が得られたとのこと。なお、同実証は2026年5月~6月末の期間で行われ、生成AIの精度および業務効率化について検証したという。
自治体選挙事務では、市民や候補者などからの多様な問い合わせに対し、法令や判例などを参照しながら正確に対応する必要がある。こうした対応には専門知識が求められる一方で、選挙開催が不定期であることから、職員間でのノウハウ定着が難しく、ベテラン職員へ依存した業務体制となっていることが課題だったとのことだ。
こうした課題を解決するため、NECは地方自治、法令・判例、自治体関連の実務書籍などの出版を手掛けるぎょうせいの選挙専門書籍や、自治体独自で整備しているFAQを参照し、生成AIが実務に即して関連情報の検索結果を表示するシステムを開発。具体的には、「公職選挙法で制限されている挨拶にはどのようなものがあるか」などの自然な文章で問い合わせ内容をチャット入力するだけで、生成AIが書籍に基づく情報とその根拠となる法令や文献を提示するという。
実証後のアンケートでは、両市あわせて利用者の9割以上から回答精度に対して「正確」、また7割以上から「業務効率化に寄与する」との回答が得られ、同サービスによる文書検索にかかる手間や時間の削減、職員の応対品質・速度の平準化が期待できることが分かったとしている。
同実証で検証した生成AIの特徴
NECとぎょうせいとの共同開発による選挙事務特化型の生成AI
NECが従来から提供している「NEC自治体支援生成AIサービス」上で、ぎょうせいの専門書籍のデータを取り込んだ実証用の環境を構築。また、環境構築に際し、ぎょうせいの監修を受け、共同で開発を進めたとのこと。これにより、実務に即した回答内容のチューニングが可能となり、職員の事務負荷や作業時間の削減、職員ごとの作業品質の平準化に貢献するとしている。
なお、書籍内容の同サービスへの利用に関しては、当該書籍の著作権者から個別に許諾を得て実施したとのことだ。
効率化と安全性の両立
公共領域での生成AI利用の期待が高まっている一方で、市民の権利行使や社会福祉に直結することから、回答の正確性に対する懸念もある。今回の実証では、問い合わせへの回答機能だけでなく、ハルシネーションチェック機能やe-Gov法令検索との連携を実装し、生成AIの回答に対して職員がダブルチェックできる仕組みを開発したという。これにより、業務効率化と安全性の担保を両立すると述べている。
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