そのバックアップは機能するのか? システム復旧と事業継続の命運を分ける「レジリエンス」の真髄
3-2-1ルールからRTO/RPO設定まで──有事に「最初の数日」を乗り切るための復旧力の鍛え方
根強く残る誤解、バックアップは復旧を保証していない
困難から立ち直る力を示す「レジリエンス」という言葉がありますが、まさに強靱な復旧力を備えたレジリエンスこそ、企業にとって必要なものです。そして、その基盤となるのが、平時から取得しておくバックアップデータです。サイバー攻撃への対策として、セキュリティツールによって攻撃耐性を強化するとともに、万が一攻撃を受けても可及的速やかにシステムを復旧できるよう、適切なデータバックアップ体制を整備しているか見直す必要があります。
しかし、「バックアップを取得しているから大丈夫」と思っていても、いざ必要な場面になると「バックアップファイルが破損していた」「必要なデータがバックアップされていなかった」「サイバー攻撃でバックアップファイルまで暗号化されてしまった」など、様々な要因によって復旧できないケースが少なくありません。
バックアップは非常時に役立つものであることから、日常的にはその重要性が十分に理解されないことがあります。情報システムに十分な予算を確保できない中小企業では、バックアップに使用しているNASの容量が不足し、担当者が「容量増強の予算を確保してほしい」とリクエストしても、経営層の承認が得られなかったという例もあります。その結果、復元時に十分なバックアップデータが残っていなかったという事態に陥ってしまいます。
また、適切にバックアップを取得しているつもりでも、システム環境の変化に対応せず従来のバックアップ設定を継続しているだけでは、重要なデータが保存されていない状態になります。システムの変更に合わせて、バックアップ設計そのものを見直すことも忘れてはいけません。
さらに近年では、バックアップデータ自体が暗号化される被害事例が増加しています。そのため、バックアップデータが暗号化されない仕組みを構築しておく必要があります。加えて、オンプレミス環境だけでなく、クラウド環境そのものが消去されるリスクも存在します。復旧に失敗すれば、長期間の業務停止だけでなく、顧客からの信頼失墜やブランド価値の毀損につながる深刻な事態を招き得ることを認識すべきです。
そしてもう一つ……。たとえバックアップデータが適切に揃っていたとしても、魔法のように停止したシステムがボタン一つで即座に復旧され、業務が元通りになるわけではありません。バックアップを取得していたにもかかわらず、必要なデータが欠落していて復旧作業が難航するケースがあります。この点は、情報システム部門だけでなく、経営層まで十分に理解しておくべきでしょう。
実際の復旧作業では、バックアップデータ内に不正なマルウェアが紛れていないか確認するなど、チェックを行いながら慎重に進めなければなりません。経営層がこうした事情を理解し、関係部門と連携しながら復旧作業を進め、できるだけ短時間で復旧を実現する体制を整えておくことが、迅速な事業再開につながります。
ビジネスにおけるデジタル技術の活用が進むにつれ、自社が直面するリスクと、そのリスクを低減するためにサイバーセキュリティやデータバックアップが果たす役割を理解することは、ビジネスリーダーにとってもこれまで以上に重要となっています。そして、サイバーリスクの状況は複雑化し、絶えず変化し続けています。
そのため、ITやセキュリティのプロフェッショナルには、セキュリティの重要性とバックアップによる迅速な復旧の重要性について、経営層をはじめ社内全体に理解を促す役割が求められます。ビジネスに焦点を当てた言葉や概念を使って正しい説明を行い、全社的な連携体制を構築することが、事業継続性を確保できる適切なサイバーセキュリティ戦略と対応計画を策定するための基盤となります。
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鈴木 真(スズキ マコト)
バラクーダネットワークスジャパン株式会社
執行役員社長エンタープライズITおよびサイバーセキュリティ分野で30年以上の営業経験を有しています。2023年にバラクーダへ参画する以前は、ダークトレース・ジャパンのカントリーマネージャーとして、東京および大阪における営業チームと事業運営を統括していました。※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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加藤 路陽(カトウ ミチアキ)
バラクーダネットワークスジャパン株式会社
シニアソリューションアーキテクト13年以上にわたりバラクーダに在籍し、地域における技術面の専門家として、営業チームを支援しながら製品およびサービスの提供を主導しています。バラクーダへ参画する以前は、大手SIにてシステムおよび製品エンジニアリングを担当し、テクノロジ...※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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