ヒアリングが終わった後に、聞き漏らしていたことがたくさんあることに気が付いてがっくりということはありませんか? 重要なのは目的意識と事前準備。これさえできれば、あなたの要求とりまとめ力はグッとアップするはずです。
簡単そうで意外と難しいのがヒアリング
どうしたの?微妙な表情なんかしちゃって。
ツールのデキが良くなかったらしく、作り直せと言われまして・・・。
ほう、何が悪かったんだい?
てっきり1回こっきりのものだと思って汎用的な作りにしていなかったのですが、今後のプロジェクトでも使いまわす予定だったらしいんですよね。
なるほど。まさに要求定義が不十分だったってことだね。
え、もしかして赤字プロジェクトの話をされてますか?
そうそう。依頼主が求める要求を取り違えて、違うものを作っちゃたってことだよね。納品が近づいてからの手戻りだから、プロジェクトだったら確実に火を噴いてるよね。
ううう、確かにそうですよね。一応、リーダーにはどんなものが欲しいか聞いたつもりだったんですけどね。
そうか、ちゃんとヒアリングはしたんだね。
あ、いえ、なんというかやり方に自信があるわけではないんです。せっかくなので、ヒアリングのやり方を教えていただけませんか?
お、その姿勢は良いね。気持ちが良いから、これでコーヒーでも買って来いよ。
目的がないヒアリングは無駄
ヒアリングは、要求を引き出す(聞き出す)基本となる手法です。私たちは、普段からコミュニケーションを取るために、話したり、聞いたりしていますが、ヒアリングは単なる情報交換とは違います。もっとも大きな違いは、目的を持っているかどうかです。
目的がないヒアリングは「散漫」になってしまい、漏れや抜け、誤解などがたくさん生まれます。もう少し細かくいうと、「意図がない」質問は無駄になるといっても良いでしょう。一体、そのヒアリング全体でなにを明らかにしたいのか、どういうことを聞き出して形にしたいのかが伝わっていなければ、相手からの答えもあいまいになりますし、正しい情報を伝えてくれなくなるでしょう。

ですから、まず、ヒアリングを成功させるためには、全体に目的をきちんと持たせることが大切です。そして、ヒアリングを構成する質問一つひとつに意図があることが大切です。そして、それを書き出しましょう。例えば、「○○業務の現在の業務フローをつかみ、既存システムに対する不満点を洗い出す」などとしましょう。単に「現状調査」とすると、焦点がぼけてしまいますので、範囲や明らかにしたい対象物等を意識した書き方にすると良いでしょう。(次ページへ続く)
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佐川 博樹(サガワ ヒロキ)
中小企業診断士。大手電機メーカの生産管理システム企画構築、関連会社のシステムコンサルティング、メディア企業向けセールスエンジニアを経て独立。現在は、中小零細企業向けのシステム導入コンサルティング、ネット活用、各種経営支援を行っている。中小企業診断協会 東京支部 城南支会 常任理事、NPO法人東京城南中小企業診断士会 常任理事。
・著者のホームページ※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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